日本企業「ジャニーズからの撤退」に感じる違和感 「タレントと直接契約」「他社への移籍」案も出るが…

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直接契約をする場合は、こうした一連の対応をタレント自身が行うか、事務所以外の第三者に委ねる必要があるが、一元管理ができないと、スムーズには進まない。

下手をすると、タレント自身が関係者間の板挟みになって苦しんだり、煩雑な仕事を自分から誰かに依頼して代行してもらったり、自らやらなければならなくなったりしてしまう。

「タレント本人と契約する」というのは、本人の仕事がなくならないようにと配慮しての提案かもしれないが、現実問題としてはかなりの困難を伴う可能性が高い。

1年間とはいえ、ジャニーズ事務所はタレントの出演料はすべてタレントに支払い、自分たちは報酬を受け取らないと表明しているのだから、スポンサー企業はこちらのスキームに乗った方が業務は効率的に進むし、タレント自身にとってもメリットが大きい。 

このやり方で事務所への利益供与は回避できても、事務所と取引関係を継続すること自体が倫理に反すると考える企業、世間の批判を恐れる企業もあるかもしれない。ただ、自社の考えについてしっかりと説明を行うことで、リスク低減、回避をすることはできるだろう。

継続起用を決めたP&Gジャパンの「責任の取り方」

実際、今後の起用継続を決めた会社もある。P&Gジャパンはジャニーズタレントの継続起用を表明すると同時に、ヴィリアム・トルスカ社長は朝日新聞の取材に対して、「責任ある広告主でありたいと考えています。わが社には非常に高い倫理基準があり、サプライチェーンに関わる全員に同じ倫理基準をもってほしい」と語っている。

「契約を打ち切って終わり」とする企業の態度と比べると、ジャニーズ事務所に厳しい倫理基準を求めながら取引を継続するP&Gのような企業のほうが取引先への責任をしっかりと果たそうとしているようにも見える。

一方、他の事務所への移籍を検討すべきとする声もある。経済同友会の新浪代表幹事は、ジャニーズ事務所の対応を批判しつつ「事務所で働くタレントの方々には大変心苦しいことはあるが、ほかの事務所に移るなどいろんな手があるのではないか」と言っている。

コーセーグループは、ジャニーズ事務所に対して被害者の補償とガバナンス確立を求めつつ、「現在の所属タレントの皆さまや、そのマネジメント機能については、他社への移籍や、ガバナンス体制の整備された別組織の設立などの方策によって、早急に対応すべき」としている。

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