日本企業「ジャニーズからの撤退」に感じる違和感 「タレントと直接契約」「他社への移籍」案も出るが…

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「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の平本淳也代表(右)と石丸志門副代表。(撮影:尾形文繁)

取引を続けるか、続けないかは、他社の動向や世論の動向も踏まえる必要があるが、上記の点を踏まえて決定しなければ、「取引先企業に対する責任を果たしていない」と見なされてもやむをえない。

極論すれば、事務所と取引を続けるのか、終了するのか――というのは本質的な問題ではなく、“取引企業としての責任を果たしているのか否か”という点が重要なのだ。

「タレントとの直接契約」は現実的でも、得策でもない

「タレントの起用は続けたいが、ジャニーズ事務所との取引は続けたくない」というジレンマの中で、事務所を通さずにタレントと直接契約することを検討する企業も出てきた。実際、アフラックやライオンはその旨を発表している。

「問題は事務所にあるのであって、タレントに罪はない」と、タレントに配慮しての表明だとは思うが、これまで述べてきたことに照らして考えると、こうしたやり方は適切とは言い難い。

そもそも、事務所を通さずにタレントを契約するうえで、ジャニーズ事務所とタレントとの契約条件、事務所とスポンサー企業との契約条件に反していないか? という疑問が生じる。諸問題に鑑みて、タレントと直接契約するという特例措置を取るにしても、それによって弊害が起きないか、綿密な検討と協議が必要だ。

芸能事務所は、単にスポンサー企業との契約金のやりとり窓口として存在しているだけではない。広告契約単体で考えても、条件交渉、料金交渉も必要になる。

スポンサー企業と競合する同業他社の広告への出演を避ける必要もある。契約が決まったら決まったで、打ち合わせや撮影のスケジュール調整も必要になる。タレントが不祥事を起こしたり、トラブルが起きたりした場合のリスク対応も重要な仕事だ。

日本の「タレント」は、音楽、演技、司会などのさまざまな業務を同時並行でこなす存在だ。それが実現できているのは、芸能事務所がプロデュース、営業、業務調整などの一連の対応を行うからだ。

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