関西のディープタウン尼崎市が遂げた驚きの変貌 暴力団事務所は退去、タイガース優勝で活気

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商店街の老舗飲食店の店主が、こう話す。

「違法風俗を目当てにした男性客や外国人客が商店街でもたむろしていてね、私らはえらい迷惑していたわけですよ。それで20年以上も前から、この街から違法風俗をなくせ!と言い続けてきて、やっとそれが実現しつつある。

観光客が増えて、大阪や京都みたいに商店街や街にお金を落としてくれるならいいんやけど、尼崎は結局そうはならなかったということ。大阪や神戸も近いのに、ホテルは少ないし、タクシーも全然おらへんやろ。つまり、観光客は尼崎にはほとんど来おへんということ。だから地域のお客さんを大切にせなあかんわけで、それは私らがずーっと意識してきたことなんよ」

地元の不動産会社に聞くと「阪急やJRだけではなく、近年では阪神・尼崎駅も開発が進んで需要が高まっている。大阪やなんばへのアクセスの良さを活かし、転勤者や単身赴任者にも人気のエリアになっており、今後もその傾向は続くと予測しています」と述べる。

再開発で近代的なエリアが誕生

混沌としてどこか雑多な印象を受ける阪神・尼崎駅周辺との対比でいうと、JR尼崎駅周辺は全く雰囲気が異なる。大手資本のショッピングモールが立ち並び、道路はきれいに整備され、車の渋滞も比較的少ない。近年建設された、高級マンションや大学なども進出し、非常に近代的なエリアとなっている。

尼崎 マンション
JR尼崎駅周辺は道路も整備され、近代的な街並みになっている(筆者撮影)

この辺り一帯はキリンビールの大型工場跡地で、現在も開発が続いている。地元の居酒屋で話を聞いたところ、街の変化を以下のように表現した。

「尼崎って、大きく3つのエリアに分かれる。地元民の感覚でいうなら昔から武庫之荘を中心とした北側の阪急沿線は、お金持ちも多くていいところ。もともとは田んぼばかりだったけど、阪急電鉄が力を入れて開発したことで、住宅街として成功していった。

JR周辺には昔はボロボロの掘っ立て小屋がたくさんあって、キリンビールに支えられてきた街という感じ。そして阪神・尼崎などの阪神沿線は“ザ・尼崎”みたいイメージ。

それが2011年頃からJRの大型開発がどんどん進み、今はJR沿線の人気が高くなり、特に家族連れが増えてきた。以前のこの辺りを知る人間からすると、もはや同じ街とは思えへんよ」

あまがさきキューズモール
JR尼崎駅とデッキで直結する商業施設(筆者撮影)
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