関西のディープタウン尼崎市が遂げた驚きの変貌 暴力団事務所は退去、タイガース優勝で活気

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この言葉の通り、商店街には「優勝祈願 めざせ!!てっぺん」との大きな旗が掲げられていた。個々の店でも勝利した日は「ビール半額」「衣料品半額」など、セールやキャンペーンが至るところで行われていた。

尼崎 阪神タイガース
商店街には阪神タイガースを応援する旗が掲げられている(筆者撮影)

贔屓球団の勝利を心から喜び、敗戦には時に厳しい意見をぶつける。「虎キチ」が集う名物商店街では、今年のタイガースの好調ぶりにより景気が上向いている、という声が共通していた。

阪神・尼崎駅でタクシーを捕まえようとしたがなかなか来ない。30分ほど待ってようやく拾うと、運転手はのっけから高めのテンションで話しかけてきた。

「今日は阪神の試合があるからか、ずっと出ずっぱり。もともと尼崎はバスの路線も充実していて、JRに阪神、阪急が通るアクセスの良さからも、タクシー不毛の地、とも言われとった。そやけど今年は試合のある日はずっとこんな感じやね。インバウンドや外国人客は多いかって? そんなことよりも、タイガースの優勝のほうが圧倒的に経済効果は高いから、この街は(笑)。

優勝した18年前も凄かったけど、今回もあの時にも負けない盛り上がり。実際に甲子園球場への送迎も多いし、試合後もみんな商店街で飲むから、夜でもタクシーは動く。タクシードライバーをやっているとね、ケチな人が多いと揶揄される尼崎の人たちも、今年はようけ街にお金を落としていると肌で感じますわ」

暴力団事務所は退去

阪神・尼崎駅周辺はかつて多くの暴力団が事務所を構え、抗争の現場にもなってきた。裏カジノなども点在し、「本サロ」と呼ばれる違法風俗も存在したという。それでも近年は県警や市の働きかけもあり、表向きには暴力団の事務所は退去した。グレーな側面は取り除かれつつある。

象徴的だったのは、60年超も「ちょんの間」として続いた「かんなみ新地」が2021年11月に一斉摘発されたことだ。以前は外国人観光客や全国各地から多くの男性客が足を運んだが、摘発を受けて周辺の環境は変わりつつあるという。

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