「ペットの福利厚生が広まらない」日本と欧米の差 犬や猫も家族の一員、という意識の一方で…
先に述べたように、日本ならではの雇用形態や、キャリア形成の固定観念が根付く日本企業では、1人でも多くの人が平等に受けられる福利厚生を提供する傾向が強いです。そのため「ペット飼育者向け」という比較的マイノリティーになりやすい従業員を対象とした、福利厚生の普及には課題があるように感じます。
日本で導入進まないのはなぜ?
その一方で、日本企業はさまざまな社会課題に直面し、変革が求められていると考えています。
例えば、若年層に増加している「うつ病」、過労死と労働環境の問題、ジャンダーギャップと女性の活躍促進、日本の賃金水準の低下、人口減少と高齢化、国際競争力の低下、SDGsへの貢献、技術革新への対応などです。
このような課題に対して、企業の生産性向上や競争力強化を目的とする取り組みの導入は進んでいます。
従業員の健康促進と幸福感の向上を図る健康経営や、女性リーダーシップ推進、ワークライフバランス、ESG施策などです。
これらは、企業価値の向上につながりやすいため、優先して取り組まれる傾向にあります。
一方「ペット」の存在は企業にとって”解決しなければならない課題”としてあまり認識されていません。
企業それぞれの業種価値につながりやすい取り組みが優先され、「ペット」の存在は企業にとって”解決しなければならない課題”には、まだなっていないのが現状です。
では「ペット」の存在はどのように考えたらよいのでしょうか。課題ではなく、”ソリューション”として考えていくことが重要です。
ペットフレンドリーな企業になること、職場環境を整えることが、企業が抱えている社会問題の解決策の1つとして考えられます。
例えば、ペットを飼うことは時間の経過とともに認知力が低下するのを抑制することとも関連しているという、アメリカ神経学会(AAN)の研究結果が発表されています。
またカリフォルニア州立大学の研究によると動物と触れ合うことで“幸せホルモン”のセロトニンやオキシトシンが増えることがわかっています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら