「ペットの福利厚生が広まらない」日本と欧米の差 犬や猫も家族の一員、という意識の一方で…

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日本でもペットフレンドリーな取り組みを行っている企業はあります。以下が主な例です。

富士通:愛犬と出勤できる部屋としてドッグオフィスを設置。小型犬など条件を設けたうえで、愛犬と一緒に働ける環境を提供。

東京都港区:東京都港区では区役所で働く職員向け厚生会に、会員本人が飼育するペットに要した費用を補助するプランを提供。(年間2万3000円上限)

日本ではこのような先進的な取り組みを行っている企業や自治体は多くなく、働く環境において「ペット」の存在を考慮することが少ないのが現状です。

欧米と日本の福利厚生、差がある背景

一方で、欧米企業ではさまざまなペットの福利厚生が導入されています。欧米企業と日本企業のペットの福利厚生には、なぜ差があるのでしょうか。それは、法律面や生活環境面において、ペット先進国の代表であるアメリカやイギリスとの雇用形態や、キャリア形成の固定観念との違いがあるからだと考えられます。

日本企業の平均勤続年数は、2010年以降約12年が平均とされる一方、アメリカ企業の勤続年数は、18歳から24歳の87%、35歳〜44歳の61%が5年未満と、日本の約3分の1ほどです。

日本企業では従業員により長く働いてもらうために、全員を対象にする制度が重視される背景があります。そのため、一部の社員を対象とした福利厚生を導入する企業は少ないと考えられます。

対して、アメリカやイギリスは、キャリアアップのために転職を繰り返すことに抵抗感が低く、一度入った会社に長く勤め、定年を迎えるという意識がほとんどありません。

より優秀な人材を採用する機会を増やすため、多様な背景がある従業員に合わせて、さまざまな制度を用意している場合が多いとされています。

アメリカでは「平等な体験を確保するために、各個人に必要なサポートを提供する」という考え方を持つ企業が多いです。例えば養子を迎える同性カップルへの産休制度、代理母費用の補助など、多様な生き方をサポートする福利厚生を取り入れる傾向があります。

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