真の血尿だったら、その人が持つ尿路系悪性腫瘍のリスクを検討し、必要に応じて腹部の超音波検査や、尿の中にがん細胞が混ざっていないかを診る尿細胞診を行い、がんの有無を調べる。
もちろん、血尿があったからといって、がんとは限らない。
血尿は尿路悪性腫瘍の症状の1つではあるが、尿潜血が陽性の人のうち尿路悪性腫瘍が見つかるのは0.2〜5.2%程度(『血尿診断ガイドライン』2023年より)だ。実際には膀胱炎などの尿路感染症、尿路結石、前立腺肥大症などの頻度が高い。
これらの病気は、肉眼的血尿というよりも、健診などの尿検査で「尿潜血」の項目が陽性となり、顕微鏡的血尿として見つかることも多い。
「特に高齢者に多い慢性的な尿路感染症は、血尿以外の症状がないこともあります。尿路結石は痛みが出ることが多いですが、腎臓結石では、血尿以外の症状がないこともあります」(坂井医師)
やせ型の人は血尿が出やすい!?
健診で尿潜血が陽性となったときに考えられる原因としては、ほかにどんなものがあるのだろうか。
まず、挙げられるのは、「菲薄基底膜病(ひはくきていまくびょう)」や「ナットクラッカー症候群」「運動誘発性血尿」などだ。
菲薄基底膜病は、「良性家族性血尿」とも呼ばれる遺伝性腎炎の一種で、ほとんどの場合、症状は血尿だけで、腎不全へ進行することはまずないため、経過観察が基本となる。ナットクラッカー症候群は、やせ型で内臓脂肪が少ない人に多い病気で、腎動脈の間にある腎静脈が圧迫されて血尿が出る状態をいう。
運動誘発性血尿は、その名の通り激しい運動をしたり、長時間スポーツをしたりしたときに一時的に出る血尿だ。40歳以下の若い世代はがんのリスクが低いので、こうした原因が背景にある可能性が高くなる。
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