【血尿】「真っ赤な尿」1回でも重大な病のサイン 中高年男性の喫煙者は特に注意、先送りはダメ

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ちなみに、血尿に加えて、尿にタンパク質が混じる「タンパク尿」があると、より腎臓の病気である可能性が高くなる。また、IgA腎症といって、腎臓の糸球体(血液中の老廃物をろ過して尿にする組織)にIgAというタンパク質が沈着する病気があると、風邪を引いたときなどにコーラのような色の尿が出ることがある。

膀胱がんの8割、血尿で発見

血尿が出たときに最も注意したいのが、膀胱がん、腎盂(じんう)がん、尿管がんなど尿路系の悪性腫瘍、つまりがんだ。がん組織の血管はもろいので、尿の刺激などでも簡単に出血するという。

日本泌尿器科学会によると、尿路系悪性腫瘍のなかでも最も頻度が高い膀胱がんでは、85%は肉眼的血尿をきっかけに見つかる。この血尿は、まさに多くの人がイメージする、「真っ赤な尿」であることが多い。

尿が真っ赤だったら驚くのは当然だが、実はこの血尿はむしろ「早期発見のチャンス」ともいえると、坂井医師は言う。

「一般的に、がんは自覚症状が出たときには、進行していることも多いですが、膀胱がんでは比較的早期でも血尿が出ます。血尿があったら膀胱がんかどうかを確認してもらうためにも、なるべく早く泌尿器科を受診してください」

では、血尿はどれくらい続いたら、受診したほうがいいのか。

「1回でも肉眼的血尿があれば、受診したほうがいいでしょう」と坂井医師は言う。「なぜなら、がんから出血しても自然と止まり、その後しばらく出血しない期間が続くこともあるからです。血尿が続いていないから大丈夫、というわけにはいかないのです」。

膀胱がんを発症する人は年間2万人以上(国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」より)。男性は女性の3倍以上かかりやすく、50代ごろから増え始める。そして喫煙が最大のリスク因子とされている。

「ですので、特に40代以上で喫煙歴がある人は、真っ赤な血尿が出たら注意してください」と坂井医師はアドバイスする。

ところで、先ほど真っ赤でなくても血尿の可能性があると紹介したが、反対に、血尿のように見えても実際には血液ではないこともある。ビーツなどの食べものの色素や薬の影響だったりすることもある。

このため、厳密にいうと、病院で採尿し、顕微鏡で尿の中の赤血球を確認してはじめて血尿が確定する。健診の尿検査で尿潜血(尿に血液が混じっている状態)が陽性となった場合でも、必ずしも血液が混ざっているとは限らず、顕微鏡で確認すると血尿ではない(偽陽性)こともある。

たとえば、過度なトレーニングなどで誘発される「横紋筋融解症(筋肉が破壊されて筋肉中のタンパク質が尿中に大量に放出される)」によるミオグロビン尿では、尿中に赤血球がないにもかかわらず尿潜血が陽性となることがある。

要するに、健診などで尿潜血が陽性となった場合も、顕微鏡での確認を経て、真の血尿かを見ないとわからない、ということだ。

逆にビタミンC(アスコルビン酸)を多く含むものを摂取していると、血尿があるのに陰性(偽陰性)となることがある。このため、尿検査の前にはビタミンCを多く含むものは控えたい。

なお、女性の場合、尿潜血が出たら実は月経血だったりすることもある。そのため、健診では月経の前後3日間は検尿しないほうがのぞましい。

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