
家康に泣きつく秀吉の胸中
「心から本当に自分に従っている者はいない。秀吉に天下を取らせるのも失わせるのも、家康殿の御心一つにかかっている」
上洛する前夜、徳川家康は宿所を訪ねて来た豊臣秀吉から、そんなふうに懇願されたのだと『徳川実紀』には記されている(前回記事「誰も従わない」家康に弱音を見せた秀吉の強かさ参照)。
どこまでが事実かはわからないが、「秀吉に本心から従っている家臣はいないのでは?」と考えるムードがあったのだろう。なにしろ秀吉は織田信長に取り立てられて、低い身分から異例の出世を果たしている。そして信長が「本能寺の変」で討たれると、すぐさま明智光秀を討って、主君の敵討ちをすることで、実質的な後継者候補へと躍り出た。
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