「iPhone15」で見せつけたアップルの周到戦略 計画的な「長寿命化」がもたらしたブランド価値

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こうしたアップルのしたたかな戦略は、製品ジャンルを超えて提供されている。

今回発表された新しいApple Watchには、初めてNeural Engineが搭載され、iPhoneで育て上げてきた音声認識を高める仕組みがApple Watchでも利用可能となった。

アップルの業績推移

またiPhoneで開発した独自の半導体技術は、iPad、Macといった製品の価値も高め、それらアップル製品をまとめ上げるクラウドストレージ、映像・音楽・ゲーム配信など、他の事業における収益性も高めている。中でもサービス部門の売り上げの伸びは顕著だ。

「カーボンニュートラル」も価値を補強

iPhoneはアップルにとって”金のなる木”であり、成熟市場にあっても、さらなる成長を狙える位置にまできた。

アップルはiPhone 8を発売した際に「iPhoneは10年で製品として完成した」とし、新しい進化の基盤としてiPhone Xを同時発表した。

それから数えて、iPhone 15は7世代目に相当する。10世代を1つの区切りとするなら、次の成長、進化の足がかりは、3世代後までに作り上げる必要がある。

今回の発表会では、2030年の達成を掲げる「カーボンニュートラル」への取り組みに関する説明も行われた。Apple Watch単体ではカーボンニュートラルを実現し、それ以外のプロジェクトも着々と目標達成に向けて進んでいる。これらはブランドとしてのアップルの価値を補強するものになっていくだろう。

6月に発表したApple Vision Proが収益に貢献するまでには、まだ長い道のりが残されている。まったく新しいコンセプトでありながらも、iPhoneの強みを活かせる分野でもある。アップルの強さは、まだまだ弱まりそうにない。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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