死者増える「モロッコ地震」支援が遅れた最大理由 国王中心の「超中央集権的」体制のアキレス腱
しかし、彼女はまた、人々に清潔な水を提供し、まだ危険をもたらす破損した建物を特定する必要性を強調した。「災害の中に災害がないようにする必要がある」と彼女は声明で述べている。
10日の夜になると、家が倒壊したり、安全でなくなったりした家族は、カラフルな布やビニールシートを石で押さえたその場しのぎの避難所や、消防士が用意した黄色いテントの中で寝る準備をした。余震を心配する人々は戸外で寝た。
マラケシュの南、アトラス山脈の2つの尾根に挟まれたアズグールのような村では、家は一般的に泥レンガで建てられており、伝統的な建築方法であるため、地震や大雨に非常に弱い。今回の地震で、アズグールの半分の家屋は瓦礫と化し、残った家屋は住めなくなった。
世界保健機関(WHO)の報告によると、マラケシュとその近郊の30万人以上の市民も地震の影響を受けた。モロッコ内務省が日曜日に発表したところによると、マラケシュ周辺では17人が死亡した。マラケシュとその城壁に囲まれた旧市街はユネスコの世界遺産に登録されており、大きな被害は免れたようだ。
国王への批判は「犯罪」
一部のモロッコ人は、政府の災害に対する貧弱な対応を諦めていた。近年で最も壊滅的な被害をもたらした2004年の地震の記憶はまだ新しいーー当時、首相が最も被害の大きかった地域をすぐに訪問しなかったのは、国王が訪問する前に首相が現れないようにという儀礼上の決まりがあったからだ。
モロッコは国民の怒りに寛容というわけではない。モロッコの法律では国王への批判は犯罪とされている。
10日、アトラス山脈の村々は、たとえ主要都市マラケシュから1、2時間しか離れていない村々であっても、ほとんど、あるいはまったく公的な援助を受けていないことは明らかだった。救急車はめったに見かけず、残骸から引き揚げられた負傷者のほとんどは、マラケシュの病院まで自家用車かオートバイで向かった。
(執筆:Vivian Yee記者、Aida Alami記者、Jenny Grossk記者)
(C)2023 The New York Times
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