では、2030年に向けた電動化フェーズ1~3、さらにその先に向けてマツダの工場はどのように変化していくのだろうか。
この点について、執行役員(生産技術・物流・カーボンニュートラル・コスト革新担当)の弘中武都氏に聞いた。
弘中氏は「2030年にBEV比率を25~40%と幅を持たせたが、いずれはBEV比率がさらに上がるだろう。だが、いきなり100%になるわけでないため、マツダとしては(当面)混流生産を選ばなければならない」と、BEV専用工場化を一気に導入するという考えは示さなかった。
マツダとしては、「国内5つのラインが、あたかも1つの工場」のように運用していくというこれまでの考え方を今後も継続するという。
そのうえで、「2030年代以降よりも、その途中(での工場の体制づくり)が大事」だとして、2021年にリニューアルした防府工場H2ラインにおけるCX-60での電動化対応が、今後の工場運営における布石になっていると指摘した。
そうしたラインのフレキシビリティ(柔軟性)を上げることで、特定の車種での電動化率やBEV化率が上がってくれば、現在のMX-30で対応しているような混流生産を行うことを想定している。
「BEV混流率が高くなり、結果的にBEV率が100%になっているはず」だとして、あくまでもマツダの国内工場は今後も、混流生産をベースとすることを強調した。
「8C」ロータリーの技術的な挑戦
最後に8Cの設計や生産技術について、触れておく。まずは、「13B RENESIS(レネシス)」との比較。これは、2003年から2012年まで約19万台が生産された「RX-8」に搭載したロータリーエンジンだ。
排気量は、13B RENESISの654cc×2ローターに対して、8Cは830㏄の1ローター。ローターの幅は80mmに対して76mm。そして、ローターが動く「創成半径」は、105mmから120mmへと拡大した。
ロータリーエンジンは、おむすび型のローターがローターハウジングの中を回転する中で、ガソリンと空気の混合気を吸気・圧縮・爆発・排気する基本構造を持つ。利点としては、直列やV型のレシプロエンジンと比べて、小型で高出力化することが可能となることだ。
一般的に、ロータリーエンジンは排気量を増やすとトルク変動が大きくなるため、小さい排気量のローターを連装する方式をとっている。
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