モバイル大赤字・楽天が「東大就職人気1位」のなぜ 「GAFAを蹴って入社」の学生すらいる納得の理由
産業のサービス化はアルビン・トフラーの『第三の波』が世界的ベストセラーになった1980年代から叫ばれていたことだが、その波が40年遅れでようやく日本にも届いた。テクノロジーの進化により、サービス化は「データ化」「AI化」に変化した。東大生はその波頭に立つ企業が「楽天」であると認識しているのだ。
GAFAを蹴って楽天を選んだ台湾の学生
なぜ楽天が「データ化」「AI化」の先頭なのか。『最後の海賊』に登場する新入社員の蘇上育(スー・シャンユウ)はこう説明する。
「サイエンティストの立場で言うと、EC(楽天市場)、フィンテック(楽天カード)など70を超えるインターネットサービスで膨大なデータを扱っているのが何よりの魅力です」
2023年2月に入社したスーは、台湾最難関の国立台湾大学でコンピューター科学の博士号を取った生成AIのスペシャリストだ。インターンをしていたグーグル、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトから「うちに来ないか」と誘われた。
アメリカのビッグテックの誘いを蹴って楽天に来たスーはこう続ける。
「僕がインターンをしていたグーグルのラボには6000人のサイエンティストがいました。あの規模だと自分のやりたいことができるかどうか。200人の楽天技術研究所はちょうどいい」
モバイル参入に1兆円を投資して経営危機が叫ばれていることについてはどう考えているのか。
「リスクはありますよね。でも(モバイル事業を通じて)膨大な数のユーザーの生活に直接関われるようになるというのは、ものすごいチャンスです。楽天はAI企業としてグローバルに成功できる可能性があると思います」
通信エンジニアの世界でも、楽天は注目の的だ。楽天モバイルはインドのベンガルールに開発拠点を構えているが、ここには世界中から6000人の技術者が集結している。世界屈指の呼び声が高いインド工科大学から毎年100人単位を採用している。
まだ世界の携帯電話会社がどこも成し遂げていない「携帯電話ネットワークの完全仮想化」に挑み、まだ加入者500万のレベルではあるが、その商用化を成功させた楽天モバイルは、彼らにとって「入社してすぐに、面白い仕事ができそうな会社」に見えているのだ。
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