モバイル大赤字・楽天が「東大就職人気1位」のなぜ 「GAFAを蹴って入社」の学生すらいる納得の理由

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日本の若者たちも同じだろう。自分たちが生まれる前から負けっぱなしの日本企業の中にあって、楽天はただ1社、データとAIを使って本気でGAFA+Mに挑もうとしている。同じモバイルを選ぶにしても、安全を優先するなら既得権を握るNTTドコモなどの大手3社に入るだろう。

だがそれでは「世界に挑む」ことにはならない。野球の大谷翔平やサッカーの久保建英、三苫薫と同じように、彼らも「いますぐ世界と闘いたい」のだ。世界に挑む気概を失った「大企業」は、野心を抱く若者にとって、たとえ初任給が高くても、「緩やかに衰退していく退屈な場所」でしかない。

楽天がスポーツに巨額投資する理由

総額300億円を出して5年間、スペインの名門FCバルセロナのスポンサーになったり、年俸30億円でそのバルセロナ出身のスター選手、アンドレス・イニエスタを連れてきたり、アメリカ・プロバスケットボール、NBAの強豪ゴールデンステート・ウォリアーズと3年間で66億円のジャージスポンサーシップ契約を結んだりと、楽天はとにかく「世界」を意識している。

会長兼社長の三木谷浩史に言わせれば、こうしたチャレンジは、英語ネイティブにはいかにも発音しづらい「Rakuten」を世界ブランドにするための投資である。

「楽天がプロ野球に進出したとき、ベンチャーに球団経営ができるか、と言われたが、あれで楽天は全国区になった。同じことを今度は世界でやる」と三木谷は言う。

かつてはイングランド・プレミアリーグの名門、マンチェスター・ユナイテッドのスポンサーがシャープだったり、イタリア・セリエA、ユベントスのスポンサーがソニーだったりしたのだが、失われた30年の間に「ジャパン・マネー」はすっかりなりをひそめ、オイル・マネーやチャイナ・マネーにその座を奪われてしまった。「世界」を意識する若者にとって楽天は数少ない挑戦の場なのだ。

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