米国原発事情【下】 東芝との合弁による「サウス・テキサス・プロジェクト」増設が暗礁に乗り上げた理由

日本の東京電力福島原発事故を受け、米国の原発業界は、安全性の再点検を求められるだけでなく、もともと激しい競争にさらされているエネルギー市場の中で、事業採算面でのより難しい問題に直面することになった。

今年4月、大手電力卸業者の1つであるNRGエナジーは、テキサス州ヒューストンの南方90マイルのベイ・シティでかなり以前から計画していた2つの原発建設を停止すると発表した。その2つの原発は、同社の既存のSTP(サウス・テキサス・プロジェクト=NRGが2つの電力会社と提携して運営し、それぞれサンアントニオ、オースティンの顧客に電力供給を行っている2基の原発=写真)に隣接して建設される予定だった(完成予想図:下図)。

新規原発を建設するために、NRGエナジーは、東芝と合弁でニュークリア・イノベーション・ノ-ス・アメリカ(NINA、出資比率:NRG88%、東芝12%)を設立している。東芝は先進の沸騰水型原子炉建設とその工事監督を担当し、NRGは原発の運営と地方自治体その他の顧客向けの電力供給を担当する、という取り決めで、昨年末、東京電力がこの合弁会社NINAへの出資(1億2500万ドル、出資比率10%)に同意していた。

この建設計画停止の理由はいくつかあるが、その直近の理由は、福島原発事故を受けて原子力規制委員会(NRC)が、稼働中の全米104原発についてその安全性チェックを決定したことだ。NRGエナジー首脳は、他の原発業界首脳と同じように、NRCの安全性チェックによって新規原発建設の認可獲得に時間とコストがかかり過ぎることを懸念している。

NRCは、新規原発建設についてここ30年以上、認可をしてきていないが、福島原発事故が起きる前まではNINA計画については新設認可が下される、という見方が有力だった。

NRCのヤツコ委員長は、全米104原発の安全性チェックは行っても、認可の手続きは進めると言明している。しかし、原発業界首脳の間に広がっている不安は拭えない。

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