米国原発事情【下】 東芝との合弁による「サウス・テキサス・プロジェクト」増設が暗礁に乗り上げた理由


ボーグル・プロジェクトの認可手続きは現在進行中で、それが実現すれば、1979年のスリーマイル島原発事故以来途絶えているNRCの建設認可が初めて再開される事例となる。

ただ、カルバート・クリフス・プロジェクトのほうは、NRG=東芝プロジェクトと同じように暗礁に乗り上げている。昨年10月、コンステレーション・エナジーは連邦融資保証が得られたとしても、資金調達コストが高すぎると主張して合弁から撤退した。今年5月初め、同社はエクセロン(米最大の原発保有会社)に78億ドルで買収されたが、エクセロンはいまのところカルバート・プロジェクトを進める計画はないという。

こうしたもろもろの問題が浮き彫りにするのは、米国の電力市場の規制緩和が極端に進んでいるということだ。卸売ベースで電力を供給している独立会社は数百社に上り、小売ベースで送電線を所有して最終消費者に電力を供給している会社は3000社近くに達する。

こうした競争環境では、高い運営コストやNRCの認可の遅れを克服したうえで巨額の建設コストを賄う資金調達を確保すること、さらには、絶えず廉価な原発以外の電力供給源に目を光らせている顧客と長期契約を結ぶことは、原発業界にとって至難の業である。

NRGエナジーのクレイン会長は、化石燃料の使用を極力減らし、地球温暖化に取り組むための包括的な国家戦略の一環として、太陽光、風力の促進と同時に原子力の必要最低限の使用義務を示すなど、連邦政府はクリーン・エネルギー推進のための規制を設けるべきだと主張している。その規制がありさえすれば、電力市場は目下、原発業界を覆っている絶望的なコスト不安を克服できるようになるのではないか、と言う。

ホワイトハウスは、そのような考え方にかなり同調しているようだが、議会はまだ何の動きも見せていない。それが動き出すまで、“原発ルネサンス”は遅々として進まないだろう。
(ピーター・エ二ス特約記者、ニューヨーク在住、翻訳:伊豆村房一 =東洋経済オンライン)

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