若者世代をディスる「トランプ2.0」人気の正体 米共和党大統領候補の急上昇株を支持する人々

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が、彼は気候変動対策を「まやかし」と呼び、地球温暖化を止めようとする若者主導の活動を「気候主義」と呼んでカルト扱いしている。こうした姿勢が若い有権者を遠ざけるのは間違いないように見える。

ラマスワミは、憲法を修正し、選挙権年齢を25歳に引き上げることも提案している。ただし、帰化市民に合格が義務付けられる公民権テストに合格した18〜24歳の選挙権は維持するという条件付きで、だ。

そして何よりも重要なのは、ラマスワミが自身の世代とそれよりも若い世代は空っぽの魂で無意味な人生を送っている、と主張していることだ。ペラの中央広場で、ラマスワミは聴衆を前にこう言った。

「今18歳の人たちに言っておくが、人生は目的のない時間の経過などではなく、それ以上のものだ」。広場のブッチャーズ・ブリューハウスに集まった聴衆の数はあまりに多く、何十人という人々が入場できずに引き返さなければならなくなるほどだった。

ラマスワミの見解は、聴衆の大半を占める中高年には響いているようだった。中高年は彼の批判対象に含まれていない。アイオワ州カーライルの退役軍人のリック・ジャルーソ(61)は、29歳の息子と26歳の息子の妻について、2人とも「高い教育を受けたプロフェッショナル」であるのに「何かが欠けている感じがする」と話した。

若い聴衆の反応は「それは違うだろ」

聴衆の中では明らかな少数派だった若者たちの受け取り方はもっと割れている。例えば、ペラ在住のアレックス・フォーリー(32)は、ラマスワミにとっての「真実」である「神は実在する」という主張について、神という観念が多数の異なる信念を生み出すこの国をどうやってまとめていけるのか、という鋭い質問を投げかけた。「イエス・キリストを強く愛している」と言うフォーリーには、精神性を欠く若者世代という概念は突飛な発想と映るようだった。

いずれもZ世代のアルバータ州出身のカナダ人テイラー・ハリソン(22)とペラ出身のドリュー・ジョンソン氏(24)は、ブッチャーズ・ブリューハウスの騒ぎを目にして、ラマスワミがどんな人物なのか見てみようと混雑する会場に入り込んだ。

「目的も魂もない、というのは違うだろう」とハリソンは反発した。周囲の同年代はむしろ、自分たちが不利な手札をつかまされ、「その状況をどうしたらいいのかよくわからない」と感じているのだと彼女は語った。

(執筆:Jonathan Weisman記者)
(C)2023 The New York Times

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