アメリカが「2度目の南北戦争」前夜である理由 内戦リスクを高める「アノクラシー・ゾーン」

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2021年1月に発生した前代未聞のアメリカ連邦議会襲撃事件(写真:Eric Lee/Bloomberg)
アメリカ、そして世界に衝撃を与えた「Qアノン」扇動による2021年1月に発生した前代未聞の連邦議会襲撃事件。次期大統領選への出馬を表明しているトランプ氏の動向次第では、再びこのような事態を招くのか。さらには2度目の「南北戦争」を招いてしまうのか。
世界中で「内戦」が急増している現状とその原因、アメリカでも内戦が勃発する潜在性が高まっている状況について、アメリカを代表する政治学者が読み解き警告した『アメリカは内戦に向かうのか』(バーバラ・F・ウォルター著)を、思想家の内田樹氏が読み解く。

「法の支配」への信頼を深く傷つけた連邦議会乱入

原題はHow civil wars start 「どのようにして内戦は始まるのか」。アメリカのことだけを論じているわけではない。「内戦論」である。さまざまな国におけるこれまでの内戦を統計的に分析して、どういう条件が整うと内戦が始まるのかを解説する。

『アメリカは内戦に向かうのか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

これまでの世界各地の内戦を分析する箇所での筆致は学術的で抑制的である。しかし、ひとたび話題がアメリカに及ぶと、文体がいささか感情的になってくる。学術的な書き物の場合、筆者が個人的な恐怖や不安をあらわにすることはふつうしない。個人的感情を抑えて論文は書かれなければならないと大学院では教える。もちろん筆者ウォルターも大学教師だから、そういうルールは熟知しているはずである。でも、内戦の切迫が彼女の自制心を乱している。「アメリカにおける第二の南北戦争勃発の危険性に危機感を募らせるようになった」(『アメリカは内戦に向かうのか』21頁)からである。

でも、私はそのことをこの書物の瑕疵(かし)だとは思わない。むしろこの「学術的抑制が効かなくなるほどの恐怖」をリアルに伝えてくれたという点がこの本の手柄ではないかと思う。

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