若者世代をディスる「トランプ2.0」人気の正体 米共和党大統領候補の急上昇株を支持する人々
そこには、ウクライナ支援の全面打ち切り、ウクライナにおける戦線の現状凍結、市民権の出生地主義の廃止、メキシコ麻薬カルテルに対する軍事攻撃といったものも含まれる(ウクライナの戦線現状凍結についてラマスワミはインディアノーラの集会で、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンに言及し、「これは実質的にプーチンの勝利ということになるだろう、それは認める」と語った)。
こうした立ち位置によりラマスワミはともかく、これまで彼を相手にしてこなかった予備選候補者たちの注意を引きつけるようになっている。前副大統領のマイク・ペンスは8月23日のテレビ討論会でラマスワミを「(職業訓練の必要な)ルーキー」と呼んで批判。
前ニュージャージー州知事のクリス・クリスティは、チャットGPTがしゃべっているように聞こえる、元国連大使のニッキー・ヘイリーは「あなたには外交政策の経験がない。見ればわかる」と言ってラマスワミをこき下ろした。
「トランプとのタッグ」が支持の大前提
もっとも、アイオワ州の集会に集まった有権者がラマスワミの政策に賛同しているのは明らかだった。彼らの懸念はそれとは別のところにある。
「大統領になるには若すぎる」。アイオワ州オスカルーサに住むケビン・クルーカス(55)は、「私は違うが、この国の人々は年配の大統領候補に投票する傾向がある」と言った。
インディアノーラのファイヤーサイド・ビストロの外では、ダン・ベイリー(67)とパット・ホッペンワース(70)がこのように口をそろえた。ラマスワミはほかの候補者とともにトランプ陣営入りを目指すオーディションを受け、勝利したのだ、と。
ただ、トランプとラマスワミのどちらが大統領になるべきかをめぐっては、2人の意見は一致しなかった。ホッペンワースは、前大統領がそばで支える形で若いラマスワミが大統領になるべきだと考え、ベイリーは、ラマスワミは副大統領になるのがいいだろうと語った。
「私はトランプを絶対にあきらめない」とベイリー。
ラマスワミのアメリカ社会、中でも若者社会に対する見方は、政治的にリスキーなものとなりうる。厳密に言えば、ラマスワミは人為的な気候変動について確立した科学を否定しているわけではない。