小川:なぜ、こういった言葉を言いたくなるんでしょうね。
出口:私も以前から疑問に思っているところです。私はバラエティ番組にもよく呼んでいただき、人気MCの方と共演することも多いのですが、上手な方はポジティブな言葉の幅がとても大きいと感じています。毒舌、辛口という評判の方も、ここぞのときにネガティブな言い方をして面白くしているだけであって、普段は圧倒的にポジティブな言葉を使っています。楽屋に一緒にいるときに毒を吐くことなんてゼロですよ。ポジティブな言葉を100言って信頼関係を作っているから、1の毒が面白くなるんです。
小川:アンケート調査の中には、テレビでウザい、キモいといった言葉を言う芸人さんがウケていたのを見て、子どもがマネして言っているというコメントもありました。単純にその言葉がウケているのではなく、文脈や関係性があるわけですよね。そこがあまり注目されていないのかもしれません。
短所は長所に言いかえられる
小川:『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』の中に、人気MCを引き合いに出しながらダメ出し&フォローが個性を伸ばすという話がありました。辛口なダメ出しをしても、そのあとにすかさずフォローすることで出演者の良さが出るんですよね。きっと信頼関係もできているのでしょう。だから見ているほうも楽しいのです。ダメ出しだけで終わっていたら、そのMCも人気が出ないに違いありません。
「ダメ出し&フォロー」の話は、ついつい子どもに否定的な言葉を言ってしまう保護者にとっても救いのある話です。「本当に飽きっぽいよね! まともに続いた試しがないんだから」と言ってしまったあと、「でも、そうやって次々に興味を持って、チャレンジしてみるのはすごいところだよね」とフォローできれば、その子の個性を伸ばすことにもつながります。
出口:短所を長所に言いかえることができるのって、素晴らしいスキルなんです。これは何も特別な能力というわけではなく、トレーニングすれば誰でもできること。実際、短所と長所は表裏一体ですからね。「協調性がない」のは「自分を持っている」と言えるかもしれないし、「臆病」は「想像力豊かでリスクを考えられる」のかもしれません。少年院の先生は、短所を長所に言いかえるのがものすごく上手です。言いかえができると、子育てはとてもラクになるはずです。
小川:おっしゃる通りですね。ポジティブな面に目を向けて、言葉にできるようになりたいと思います。
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