軽EV「サクラ/eKクロス EV」1年で受注5万台の意味 手頃な車体価格と維持費で電気自動車を身近に

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サクラのフロントマスク
サクラのフロントマスク(写真:日産自動車)

この一充電での移動距離に、途中での経路充電で1回急速充電すれば、急速充電は満充電の80%ほどまでが基本なので、160kmぶんの充電がなされることになる。結果、出発時の満充電から予測できる204kmを足せば、片道350kmほどの旅行にも、軽EVは使えることになる。そして、目的地の宿に、自宅と同様の普通充電器があれば、翌朝には満充電となり、戻りも同じ様子で帰宅できることになる。

軽EVは、近隣の用足しに向いており、旅には向かないとの評価もあるが、途中で1度急速充電がてら30分の休憩を挟めば、遠出もできるということだ。

一般に、EVの一充電走行距離が500km前後ないと不安だとの声がある。しかし、200km程度でしかない軽EVで、近場も遠出も十分に利用価値があるのである。

バッテリー容量だけで語れない走行可能距離

逆に、一充電走行距離を伸ばそうと車載バッテリー量を増やせば増やすほど、車両価格は高くなり、またバッテリーの増量ぶんほど距離は延長できないのである。車重が重くなったぶん、電力消費率が悪化するからだ。

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たとえば、サクラとeKクロス EVは、20kWhのバッテリー容量で180km走れる(WLTCでのカタログ値)が、日産リーフの標準車は2倍の40kWhのバッテリー容量であるにもかかわらず、322kmしか走れず、2倍の360kmには届かない。より一充電走行距離を伸ばしたリーフe+は60kWhのバッテリー容量だが、450kmしか走れず、3倍の540kmには届かないのである。

軽EVのサクラとeKクロス EVは、電力消費効率という合理性においても最適な車種といえる。サクラとeKクロス EVを購入した消費者は、EVの賢い使い手といえるのではないだろうか。

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御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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