軽EV「サクラ/eKクロス EV」1年で受注5万台の意味 手頃な車体価格と維持費で電気自動車を身近に
そして現在、補助金制度の恩恵とはいえ、サクラとeKクロス EVに対する国からの55万円の補助金を利用すると、消費者の支払価格は200万円を切り、それはガソリンターボエンジンの軽自動車の値段に近づく。つまり、軽自動車として検討に値する価格設定になったということだ。
さらに東京都の場合、自治体としての補助金も適用されるため、多くの軽自動車利用者が購入する車両価格同等でEVを手に入れることができることになる。
今回の価格設定は、消費者の目をEVへ向ける大きな動機のひとつといえるだろう。
維持費もガソリン車に比べて安価
維持費を考えても、昨今のガソリン価格の高値安定の状況からすれば、電気代も原油価格の高止まりで値上げ傾向とはいえ、ガソリン代より安上がりである。
たとえば、日産自動車サクラの1km走行あたりの電気料金は、値上げ後の東京電力管内の最高の電気金額(40.69円/kWh)でも5.04円である。これに対し、全国平均のレギュラーガソリン1リットルあたり175.1円で試算すると、サクラと同格のガソリンエンジン車である「デイズ」でもっとも燃費のよい車種でも、1km走行あたり8.25円かかる。燃料代だけで、ガソリンエンジン車はEVの6割増しになる。
整備代では、定期的なオイル交換がEVなら不要になる。また、減速で回生を活用すればブレーキの減りを抑えられる。フォルクスワーゲンの「ID.4」は、回生効果によってとくに後輪ブレーキの必要性が下がるため、ドイツ車では当然といえるディスクブレーキではなく、昔ながらのドラムブレーキで、交換も見込んでいないというほどだ。
以上のように、EVであれば購入後の維持費が全体的に安くなる可能性がある。
ここまで試算してみると、EVの車両価格が全体的にはまだ高めであるかもしれないが、少なくとも、サクラとeKクロス EVについては、次の買い替え時期にEVにする価値が見えてくるのではないだろうか。
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