ウクライナが奪還作戦実行で感じた「手応え」 「われわれに必要なのは助言ではない。弾薬だ」

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いずれにしても、ウクライナ軍の反攻は2023年末までが勝負になるだろう。最終的には翌2024年も戦闘は続くだろうが、2023年末までの結果がウクライナ戦争の帰趨を決めると言っても過言ではない。

2023年内に仮に大きな進展がない場合は、アメリカから再度、停戦論が頭をもたげる可能性は十分ある。ウクライナ戦争終結のあるべき最終形を未だに描き切れていないバイデン政権のふらつきが、大統領選を2024年11月に控えさらに増幅する可能性もある。

アメリカからの「停戦論」を懸念

ゼレンスキー政権もこうしたアメリカの状況は十分承知している。F16戦闘機の実際の供与は2023年内に間に合いそうもない。射程300キロメートルの地対地ミサイル「ATACMS」の供与もワシントンが首を縦に振らない。

それでもウクライナはわが道を進むしかないと腹をくくった。ウクライナ国防省は最近、こんなビデオ・クリップを公開した。「われわれに必要なのは助言ではない。弾薬だ」と。軍高官はこうつぶやく。「これからも愚直にやるしかない」。

吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長

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よしだ しげゆき / Shigeyuki Yoshida

1953年、東京生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。1986年から1年間、サンクトペテルブルク大学に留学。1988~92年まで共同通信モスクワ支局。その後ワシントン支局を経て、1998年から2002年までモスクワ支局長。外信部長、共同通信常務理事などを経て現職。最初のモスクワ勤務でソ連崩壊に立ち会う。ワシントンでは米朝の核交渉を取材。2回目のモスクワではプーチン大統領誕生を取材。この間、「ソ連が計画経済制度を停止」「戦略核削減交渉(START)で米ソが基本合意」「ソ連が大統領制導入へ」「米が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの脱退方針をロシアに表明」などの国際的スクープを書いた。

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