だから「SLUSH ASIA」には若者が集まった 奇跡的ともいえる開催プロセス

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結局、スポンサーとなるパートナー企業は50社以上集まり、開催資金の確保は可能に。世界級のスピーカーのアレンジや、昼夜ぶっ通しでのドーム建設など、通常では考えられない支援が得られたそうです。一般に大企業は意思決定が遅く、リスクはとらないといわれますが、今回のイベントでは「想い」に共感し、行動する企業が多く出たことは素晴らしいと思いました。

学生ボランティアが大活躍

そして、SLUSH ASIAを支えたのは学生ボランティア。全国から300人以上が集まり、イベント当日の運営にあたりました。黒地にSLUSHの「S」のロゴのTシャツでスタッフとして会場で活き活きと動いていました。学生ボランティアのリーダーの田口佳之氏(立教大学4年生)は次のように語ります。

「ボランティアには、スタートアップに関心がある学生や、何か挑戦したいけど踏み出せていない人、語学力を活かして何かに挑戦してみたい人など、様々な方がいました。 そして、前日のパーティーや、終了後に話していた際に、彼らはとっても熱狂して、かつ自信にあふれていました。各チームで色んなミスや難しい意思決定の場面があったはずです。それでも彼らがTeam SLUSHの一員として、自分たちで考えて自分たちで最善の策を実行していたのです。SLUSHはイベントではなくて、コミュニティです。この場を通して、新たな何かがこれからも生まれていくことを確信しています」

従前の日本でのベンチャー関連のイベントやシンポジウムの多くは、スーツにネクタイ、サラリーマン風の人が「勉強」に来ている姿が目立つのが常でした。しかし、SLUSH ASIAは違いました。若者や学生が主役で活き活きとしていました。世界的な経営者や大企業の役員もカジュアルな格好で、オープンなイベントを楽しんでいました。そして何より、ムーブメントに参加しよう、「行動」しようという雰囲気が会場にあふれていました。若者の起業ムーブメントSLUSH ASIAが今後もパワーアップしながら続いていくことを期待しています。

石井 芳明 経済産業省 新規事業調整官

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いしい よしあき / Yoshiaki Ishii

経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官。1965年生まれ。1987年、岡山大学法学部法学科卒業。1996年、カリフォルニア大学バークレー校 留学(公共政策 単位履修生)。2000年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科卒業(国際経営学修士)。2012年、早稲田大学大学院商学研究科卒業(商学博士)。1987年、通商産業省(現・経済産業省)入省。中小企業・ベンチャー企業政策、産業技術政策、地域振興政策等に従事。1997年、同省工業技術院国際研究協力課、2000年、中小企業庁経営支援課、2003年、経済産業政策局産業組織課、2006年、中小企業基盤整備機構資金支援課、2007年、同ファンド企画課、2008年、大田区産業経済部産業振興課課長、2011年、地域経済産業グループ地域経済産業政策課を経て、2012年から現職。

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