だから「SLUSH ASIA」には若者が集まった

奇跡的ともいえる開催プロセス

筆者は、スタートアップピッチコンテストの審査員としてSLUSH ASIAに参加しました。少し会場の様子をご紹介します。

4月24日8時30分、朝から晴天。お台場の青海駅に立つと海岸側の広場に、大きな白いドーム群が目に入ります。ホワイトロックと呼ばれるドーム型の巨大テントで、小さなものから大きなものまで5基が並びます。この規模での建設は世界初とのこと。しかも通常1カ月以上の使用期間のところをこの日のためだけに作ったそうです。開幕まで時間がありますが、すでに多くの人が入場口に向かっています。

入場ゲートで手続きを済ませて最初のドームに入ると、レーザービームの光の糸が張り巡らされた部屋。重低音のビートが響いています。ここから別世界、との演出でしょう。次のドームは、スタートアップの展示ブース。ヘッドセットで目の動きを捕捉しデバイス操作や仮想空間を実現するFOVE、ファッショナブルで機能的なロボットアーム(義手)のexiiiなど、先端的な技術を駆使するスタートアップが製品展示をしています。

次のドームはスタートアップの製品やサービスのプレゼンテーションのドーム。舞台セットとディスプレーが整っています。そして、ひときわ大きいドームがキーノートステージのメインドーム、ロックコンサートの会場のような舞台装置と照明。レーザー光線の光と大きな「SLUSH」のロゴが壁面を彩ります。基調講演の聴衆800人以上の観客が入ります。

熱気にあふれたピッチコンテスト

スタートアップピッチコンテストは、9時開幕。事前の打ち合わせの後、多摩大学の本荘修二教授、マイクロソフトの砂金信一郎氏(マイクロソフトベンチャーズ代表)、インフィニティ・ベンチャー・パートナーズの田中章雄氏、アジアからの投資家らとともにピッチコンテストドームの審査員席に座ります。全体の照明が落とされ、光の中にステージが浮かび上がります。カウントダウンの音響と光の文字が天井に。「3,2,1,0」、歓声とともに起業家が現れ、新ビジネスのプレゼンテーションが始まります。プレゼンテーションは6分間、どのプレゼンテーションも流暢な英語と大きなジェスチャー。勢いがあります。

シェアリングエコノミーを意識した次世代SNSのSpotty(香港)、オンライン人材マッチングサービスで急拡大するKALIBRR(インドネシア)、質屋をベースとした金融サービスをオンラインで展開するPawnHero(フィリピン)。アジアからの参加者の多くは、各国市場が大きく成長していることを前提に、すでに効果が証明済みのビジネスモデルを巧みな運用で拡大するスタイルです。

これに対して日本勢は、画像認識、ディープラーニング(機械学習)で新しい分野を切り拓くAlpacaDB、神社仏閣、球場、映画館などあらゆる施設をビジネスミーティングなどに活用できるようシェアするスペースマーケットなど、斬新な技術や今までにないビジネスモデルで、新しい市場の開拓を目指します。10チームが、プレゼンテーションでセッション終了。別室に移り、参加チームの評価を審査員が議論します。ほかのコンテストと比べて高レベルというのが共通認識。新技術で抜きん出ているAlpacaDBをファイナルに進出させることを全員一致で決定。これで、審査員の役割が終了です。このようなセッションがあと4つ続き、50チームから5チームがファイナルステージに残ります。

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