マッチングアプリで「急激にモテる女性」の勘違い 「婚活するほど結婚できなくなる」不条理な理由

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女性が少しでも不本意な交際や結婚を避けることは、誰かにとがめられる筋合いはないことです。しかも、アプリ上では男性のショットガン・アプローチによって、女性はつねに「次」の交際の機会が準備されている状況なのですから、眼の前の出会いに少しでも疑問や違和感を抱いたのであれば、よりよい男性を求めて次の機会を探索するのは、極めて合理的な行動といえるのではないでしょうか?

ここまで、アプリを例に婚活で女性が「選り好み」してしまう仕組みを考察してきました。1人でも多くの人に、素敵な出会いと幸せな結婚を!という善意から設計されたさまざまな婚活支援サービスは、当事者である婚活男性・婚活女性がそのサービスの仕組みに適応し、120%活用していくことで、「婚活するほどに結婚から遠ざかる」という逆説を生み出しているわけです。

「こじらせ方」に寄り添ったサポートが必要

しかし、婚活女性が合理的選択として実行する「選り好み」について、少し解像度を上げて考えてみましょう。

『婚活との付き合いかた: 婚活市場でこじらせないための行為戦略』(中央経済グループパブリッシング)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

大量のマッチング申し込みの波に飲み込まれ、「いつでも結婚相手を選べる」と認識した婚活女性は、たんに「よりよい条件を求めて眼の前のチャンスを自ら放棄」しているだけでなく、「経済的条件だけで結婚相手を選ぶことへの違和感(一目出会ったた瞬間に、両思いになるくらいの出会いがほしい)」「誰を選べばよいかわからなくなり、男性の悪い点をあら探しして振る理由を探してしまう」「出会いを繰り返す中で、自分が男性に求めている条件を見失ってしまう」など、「選り好み」と一纏めに批判してはならない現実に直面しています。

今、婚活女性が本当に求めているのは、「現実を見ろ」というお説教ではなく、1人ひとりの「こじらせ方」に寄り添ったうえでのサポートであるかもしれません。そのためには、アプリを含めて、婚活支援サービスを利用して交際・結婚相手を探すのが一般化した現代において、婚活でいかに「こじらせる」のかに注目し、その「こじらせ方」にあわせた解決策を考えていく必要があるのではないかと、考えられます。

高橋 勅徳 東京都立大学大学院経営学研究科准教授

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たかはしみさのり / Misanori Takahashi

神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了、博士(経営学)。沖縄大学法経学部専任講師(2002‐2003年度)。滋賀大学経済学部准教授(2004‐2008年度)。首都大学東京大学院社会科学研究科准教授(2009年‐2017年度)を経て現職。専攻は企業家研究、ソーシャル・イノベーション論。第4回日本ベンチャー学会清成忠男賞本賞受賞。第17回日本NPO学会賞優秀賞受賞。

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