職場の「気になる彼女」を見事射止めた男性の作戦 残業後の深夜も、"対戦"しながら会話を重ね…

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「私の親はある宗教の信者です。私自身はあまり熱心に信仰しておらず、自分の配偶者や子どもに入信してほしいとも思いません。でも、信仰を理由に親と縁を切りたいとも思っていないので、夫になる人にはそつなく受け流してほしいと望んでいました」

何でも対等に話し合える。この人なら大丈夫と思った

美里さんがチェック項目をエクセルに書き出してきたことに驚いた修さん。でも、いずれも大切な項目であり、美里さんは自分の価値観を一方的に押し付けているわけでもない。修さんは自分自身も結婚相手に対等でオープンな話し合いを求めていると気づいた。

「共同生活にはいろいろ問題が起きるはずで、そのときに冷静に話せることが大事だからです。彼女の仕事の様子を見ていて、この人なら大丈夫だろうとは思っていました」

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何でも話し合う習慣は、実際の結婚生活でも役立っている。例えば、食後の後片付け。料理は美里さんが作るので、食器を洗って片付けることは修さんが担当している。しかし、「机の上はすぐに片付けたい」美里さんに対して、修さんはそれほど気にならず、少し食休みをしてから家事をしたい。

修さんが立ち上がる前に美里さんが片付けることが続き、「嫌な気持ちになっていた」と語る美里さん。それを蓄積することなく話し合ったところ、修さんは片付け作業を美里さんにやらせようと思っているわけではないことが理解できた。

「だんだん折り合いがつくようになりました。私は机の上が片付いていなくも前ほど気にならなくなったし、夫のほうは片付けを少し早めにやってくれるようになったと思います」

修さんは育児休暇を合計2年間取得。2人の娘たちに服を着せたり寝かしつけたりするのはお手の物だ。

「子どもの成長を見るのは感動と驚きに満ちあふれた日々です。僕がリビングで寝ていると、近寄ってよじ登ってくるのも面白い。2人とも圧倒的に可愛い存在です」

美里さんは結婚後に大手のITコンサルティング会社への転職を果たす。在宅勤務だが、業務量は多いので家事や育児は修さんとほぼ半々。そのやり方や負担割合に関して「ケンカっぽく」なることもあるが、解決するまで話し合うスタンスは変わっていない。

「妻のほうが口が立つので、僕は終始押され気味ですけど……」

そうボヤく修さんだが、ゲーム仲間でもある美里さんとの友情は続いている。現在は『ファイナルファンタジー16』をそれぞれプレイしているらしい。

「周囲が既婚者になって会える友だちが減っていたので、ゲームで一緒に盛り上がれる存在がそばにいるのは幸せです」

職場や趣味の集まりではもともと共通点があり、時間をかけてお互いを知ることができる。親との関係性や子どもが欲しいかどうかなどの見えにくい部分は、交際中に確認すればよい。いつまでも兄妹のような友だちのような雰囲気の修さんと美里さんの話を聞きながら、会社や社会人サークルなどのコミュニティーを共有することの効用を感じた。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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