コメントを見て、いかがだったでしょうか。
子どもの言葉遣いや若者特有の言葉が気になるというのは、いつの時代もあることですが、心配になるのはやはり「語彙が少なく、自分の感情をきちんと言語化できないこと」「意図せず人を傷つける言葉を言ってしまうこと」でしょう。
自分の感情に無頓着なので、周囲の感情にも無頓着
ある児童養護施設の指導員の方から聞いた話です。
小学4年生のAくんは、数名の男子と一緒に遊びながらイライラしている様子でした。Aくんのイライラが伝わって、一緒にふざけ合っていた友だちもイライラし始めました。「なんだよ」と小突いたり、壁を蹴ったりするのです。放っておけば大きなケンカになりそうな雰囲気です。
様子を見ていた指導員の方は、Aくんに「イライラしているみたいだけど、何かあった?」と聞きました。Aくんの答えは「ウザいから」。それしか言いません。諦めず丁寧に聞いていくと、真相はこうでした。
明日は学校の遠足があり、楽しみでたまらない。早く行きたい。そのソワソワした気持ちをどう表現していいかわからず「ウザい」と言っていたのです。
「それはウザいではなく、楽しみでソワソワしているということだと思うよ」
そう伝えるとAくんは落ち着いたそうです。
「今の子どもたちは本当に語彙が乏しく、感情が未分化だと感じます。テンションが上がれば『ヤバイ』、下がれば『ウザい』。自分の感情に無頓着なので、もちろん相手や周囲の感情にも無頓着です」
指導員の方はそんなふうに語っていました。
このケースでは、よく観察して言葉を引き出してくれる大人が近くにいたから大きなトラブルにはなりませんでした。
しかし、子どもたち同士では簡単にトラブルになります。大きなケンカになって、「どうしてケンカになったの?」とあとから聞いてもよくわからないことが多いのです。
「なぜ殴ったの?」
「Aがウザいって言ったから」
「じゃあ、Aくんはなぜウザいって言ったの?」
「ウザいから」
「何がウザいの?」
「……。とにかくウザいって思ったから」
これではまったくわかりません。本人たちもよくわかっていないのです。「ウザい」が、まさか遠足が楽しみなソワソワした気持ちだとは気づかないでしょう。
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