台風や地震に備える「災害時トイレ」意外な盲点 自治体保有「トイレトレーラー」は全国20台のみ
昨年8月、岡田さんらは江東区社会福祉協議会の災害ボランティアセンター主催の講座で「災害時の携帯用トイレの普及」をテーマに講師を務めた。都内の私立中学高等学校が企画・デザインし、日本赤十字社が作成した携帯用トイレのキットを使って仕組みと使い方を説明する、という内容だった。
キットの中身は説明書、黒いポリ袋(20㍑)、吸水シート(10×10cm)、白い半透明の臭断袋(40×26cm)、結束バンド、透明の袋。これを災害時に使いやすいようにセットしておく方法について説明が行われた。
実際に自宅のトイレで使うには、まず大きなポリ袋をかぶせ、ここに吸水シートが入った黒い袋を広げて中に用を足し、袋の口を縛ったうえで白い臭断袋に入れて結束バンドなどで口を閉めて保管する。
携帯用トイレは今、様々なタイプのものが販売されており、吸水シートではなく使用後に袋の中に凝固剤の粉を振り入れるタイプが多い。購入しても、広げて中を見る人は少ない。キットは携帯用トイレの仕組みを説明するために作られ、市販されていない。
健康を維持するためにトイレは必要
講座ではまず参加者に紙を配り、自分が一日にトイレに行く回数、それかける7日分、それかける家族の人数分を記入してもらった。一日に7回行く場合、自分の分だけで49個、4人家族だと196個が必要になる。そのうえで、前委員長の森田清枝さんが説明を行った。
参加者は、会場に来た12人、オンライン参加の40人の計52人。最後に、「数がこんなに多く必要だと知ってびっくり。これまで買っておいたのはその半分くらい」という女性や、「男性の場合、年をとると前立腺に問題が出て頻尿になり、2時間に1回はトイレに行く。どうしたものか」と困惑する男性が口々に感想を述べた。
「健康を維持するには、がまんすることなく、その都度排泄しなければいけないので、やっぱり携帯トイレは用意しましょう」「このキットを配りますので一回ためしてみてください。使ってみないと、災害時に電気のないところで使えないでしょう」。講座で説明に立つたびに、森田さんはそう呼びかけている。
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