台風や地震に備える「災害時トイレ」意外な盲点 自治体保有「トイレトレーラー」は全国20台のみ

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水害や地震が起きると、出動可能な自治体が被災地にトイレトレーラーを派遣する取り組みがある。一般社団法人・助けあいジャパンが中心になって進めてきた「災害派遣トイレネットワークプロジェクト」。「みんな元気になるトイレ」をうたい、目指すは全国1741市区町村への導入だ。

2018年から実際の導入が始まり、現在20の自治体に計20台が導入された。費用は概算で2300万~2500万円(税抜き)でオプションや為替相場により異なる。自治体は緊急防災・減災事業債の仕組みや、ふるさと納税型クラウドファンディングの仕組みを使い、費用を賄っている。

トレーラー内には4つのトイレ

2019年9月、千葉県君津市が台風15号の直撃を受けた時には、3台のトイレトレーラーが集合した。静岡県富士市、西伊豆市、愛知県刈谷市がそれぞれ2~3人の市職員とともに派遣し、避難所、文化ホール、清和公民館前で、延べ8~11日間、運営した。君津市の業者が汲み取りを行った。

「2週間を超える断水と停電が発生して大変でした。被災者からは『明るく、快適なトイレで、子供も私も元気がでました』などの感謝の声が寄せられました」(君津市危機管理課防災対策係長、鳥居大樹さん)

14台の仮設トイレが公民館前など7か所に設けられたが、トイレトレーラーの人気が際立った。この時の経験から、君津市は2021年2月にトイレトレーラーを導入。翌2022年9~10月には、水害で断水状態が続く静岡県静岡市清水区に駆け付けた。

普段は市内のイベントに“出動”したりしているが、現在は市役所の駐車場・倉庫に置かれているトイレトレーラーを見せてもらった。

4つのトイレ個室からなるトレーラーは、思ったよりコンパクト。でも中に入ってみると、けっこうゆったりしている。使用後にペダルを踏んで水を流すのだが、脇に小さなシャワーがついていて、流し足りないところを流す。床には排水口があり、掃除の際は、このシャワーで床をきれいにすることができる。手を洗う小さなシンクや鏡もある。

(写真左)君津市のトイレトレーラー、(写真右)中のトイレは脇についている小さなシャワーできれいに保てる(撮影:河野博子)
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