北海道「釧路湿原」侵食するソーラーパネルの深刻 天然記念物も生息する日本最大の湿原に異変
太陽光発電施設が7年で5.5倍へ急増
釧路自然保護協会をはじめ地元9団体が3月17日付けで「要望書」を、釧路湿原自然再生協議会(市民団体、専門家、国、道、市町村などで構成)が4月18日付けで「提言」を釧路市に提出した。いすれも太陽光発電施設の建設ラッシュを憂い、対策を求めている。
釧路湿原といえば、総面積2.6万ヘクタールの日本最大の湿原で、1980年にラムサール条約湿地として登録され、国指定の特別天然記念物タンチョウをはじめ貴重な動植物が生息していることで知られる。湿原は、かつて「役に立たない土地」として扱われた。現在は、洪水調整機能や炭素吸収機能を含め、重要な場所として注目されている。
その湿原の代表格である釧路湿原で太陽光発電施設の乱立とは、本当だろうか。関東地方のメガソーラー問題を取材してきた私は「心配しすぎではないか」とさえ思った。しかし行ってみると、太陽光発電の存在は際立っていた。空港から釧路市内へのバスの車窓からもあちこちにソーラーパネルを散見し、釧路外環状道路などの高速道路を車で走ると、ソーラーパネル群が光って見えた。
資源エネルギー庁のデータをもとに釧路市がまとめた「太陽光発電施設の推移」によると、2014年6月の時点で同市内の太陽光発電施設は96施設だったが、2021年6月には527施設へと5.5倍に増えた。このうち出力1000kW以上のメガソーラーは1か所から21カ所へと急増している。
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