来年も猛暑?今夏がこんなにも「暑くなった」根因 日本人科学者が語る世界各地で起こる熱波の背景

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極端な高温は日本だけでなく、世界各地で同時多発的に発生している。とくに北半球での気温上昇は凄まじい。

世界気象機関(WMO)によると、アメリカのアリゾナ州フェニックスでは、7月の平均気温が39.3度と最も暑い月となった。スペインのカタルーニャ州の都市フィゲラスでは、7月18日に観測史上最高の45.4度(暫定値)を、中国新疆ウイグル自治区トルファン市では7月16日、52.2度をそれぞれ記録した。

WMOとEUの気象観測機関であるコペルニクス気候変動サービスは7月27日、月末を待たずに同月の全世界の平均気温が観測史上、最高になるとの見通しを示した(後に過去最高を記録したことを確認)。

これを受け、グテーレス事務総長は同日、「地球沸騰の時代が到来した」と宣言した。事務総長は「残酷な夏」「地球全体の災害」といった短いフレーズで危機感を訴えたうえで、国連などによる予測や繰り返されてきた警告と「完全に一致する」とも指摘。ただ、「唯一の驚きは、変化のスピードだ」とし、各国の指導者に行動を呼びかけた。

世界の科学者からなる気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2021年の報告書において、人間の影響が大気、海洋、陸域を温暖化させてきたことは「疑う余地がない」と断言している。

数十年以上の時間軸でみると、温暖化レベルは人類による二酸化炭素(CO2)累積排出量と比例すると言われている。その排出量は増え続け、今も大気中のCO2濃度は上昇し続けている。

熱波は温暖化と自然現象の重ね合わせ

東京大学先端科学技術研究センターの小坂准教授は、「異常気象の背景には、まず自然変動がある」とし、「今起こっている熱波は温暖化のせいですかと聞かれれば、温暖化だけのせいとは言えない」と説明する。

小坂優准教授(筆者撮影)

ただ、温暖化が進むと、極端高温の頻度が増え、より厳しくなる反面、極端低温は減る。「ゼロか100ではなく、両方の影響が足し合わさっている」と語る。温暖化の進展と極端気温の関係を図で示すと以下のようなイメージになる。

(画像:小坂優准教授提供)
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