価格約600万円、トヨタ「セリカXX」が激レアな訳 80年代トヨタ製スポーツカーはレストアが困難

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セリカXXのエンジンルーム
展示されていたセリカXXのエンジンルーム(筆者撮影)

セリカXXは、6気筒エンジンを搭載し、リフトバックと呼ばれるスタイルを持つ3ドアのクーペモデルだ。初代モデルは1978年に登場。当時、北米市場で大きな成功を収めていた日産「フェアレディZ」の対抗馬として、同じ6気筒エンジンを搭載したスポーツカーとして開発された。

ベースとなったのは、4気筒エンジン車の「セリカ リフトバック」で、ロングノーズ化などによりボディを拡大。エンジンには、「クラウン」に搭載されていた直列6気筒SOHC・2000cc(M-EU型)のほか、2600cc(4M-EU型)搭載モデルも用意。豪華で高級なスペシャルティカーとして発売された。

セリカXXのエンブレム
セリカXXのエンブレム(筆者撮影)

車名の由来は、まずセリカ(Celica)がスペイン語で「天の」「天空の」「神の」「天国のような」という意味。それに「未知数」を示すアルファベット「X」をふたつ重ねて命名されたという。なお、セリカXXは国内市場向けの名称で、北米市場のモデル名は「スープラ(Supra)」。これは、当時、Xを連記する表現が北米の成人指定映画(いわゆるポルノ映画など)を指すことがあるなど、ネガティブな印象もあり、イメージが悪いといったことが関係していたらしい。

その後、1986年のモデルチェンジにより、国内モデルでも名称をスープラに統一。つまり、現在もトヨタがラインナップするスポーツモデル「GRスープラ」の元祖といえるのが、このモデルだといえる。

スポーティさを増した2代目セリカXX

セリカXXのインテリア
セリカXXのインテリア(筆者撮影)

今回紹介する2代目モデルは、1981年7月のモデルチェンジで登場。初代モデルと同様に、ベース車はセリカ リフトバックで、リトラクタブル式ヘッドライトを持つウェッジシェイプのデザインを採用し、先代以上にスポーティさを演出した。

こうした変更は、1981年2月に発売した、同じ6気筒エンジンを搭載する姉妹車の「ソアラ」と差別化するためだ。ソアラには、先代セリカXXのようなラグジュアリーなテイストを持たせたため、2代目セリカXXには、当時人気だったスポーツカーの要素をより強調したのだ。

とくに、日中などヘッドライトを点灯させないときはライトユニットがフロントフード内に格納され、夜間などの点灯時のみ出現するリトラクタブル式ヘッドライトは、当時のスーパーカーやスポーツモデルの定番。筆者を含む、1980年代に青春を送ったクルマ好きには、憧れだった装備のひとつだといえよう。

次ページ存在していることが奇跡といえる極上セリカXXの全貌
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