価格約600万円、トヨタ「セリカXX」が激レアな訳 80年代トヨタ製スポーツカーはレストアが困難

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リヤシート
ハーフシートカバーが装着されたリヤシート(筆者撮影)

今では珍しく、当時としては高級だった装備も満載の展示車両。だが、それにしても約600万円という高値がついている理由はなんだろう。ヴィンテージ宮田の担当者によれば、この車両は「残っているのが奇跡」といえるぐらい、状態がかなりよかったのだそうだ。よほど長年の保管状況がよかったのか、「レストアにもさほど手間がかからなかった」という。

とくにセリカXXをはじめ、1980年代のクルマは、エンジンもインジェクション仕様になっているが、これが逆に「やっかい」なのだという。電子制御がマイコンなどを使った古いタイプだし、純正部品も生産終了であることがほとんど。そのため、壊れていると部品がなく、修復はかなり困難。機械式メーターやキャブレターなどを備える1970年代のクルマのほうが、代替部品などもあり、よっぽどレストアしやすいのだそうだ。

ホイール
展示車両のホイール&タイヤ(筆者撮影)

しかも、この年代のクルマは、「多くの車両がすでにスクラップにされている」ことで、タマ数が少ない、つまりレア度も高いのだという。おそらく、今のようにビンテージカーになることは想像されておらず、多くの車両がかなり昔に処理されてしまったそうだ。また、もし残っていても、今回の展示車両のように、内外装もきれいで、デジタルメーターなどの電子装備も問題ない車両は稀少。それが、前述した「奇跡」の理由で、まさに一期一会といえるほど、出会える確率の低い上玉なのだという。

修復が困難だからこそ程度が価格に直結する

1980年代の国産スポーツカーは、セリカXXに限らず、例えば、日産「スカイラインGT-R」の3代目R32型(1989年発売)などもレア度が高く、最近では1000万円を超える車体もあると聞く。また、ここ数年、国内だけでなく、アメリカなど海外からの需要も多く、輸出されている中古車も多いようだ。

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残存する台数がそもそも少なく、あっても、もしボロボロな場合は修復やレストアが困難。しかも、需要だけは伸びている。R32型GT-Rの場合は、日産が復刻パーツを再生産し販売しているからまだいい。トヨタでも、A70型やA80型のスープラは同じく復刻パーツがあるが、セリカXXのように、1980年半ば以前に出たモデルの場合は、廃版になっている純正部品も多いそうだ。

そのため、そうしたより古いモデルは、もし車体があっても、故障や破損、劣化箇所などがあると、レストアの難易度は相当上がってしまうという。そして、これらの要因が複雑に絡み合っていることが、1980年代の国産スポーツカー全体の価格高騰に大きな影響を与えているといえるだろう。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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