価格約600万円、トヨタ「セリカXX」が激レアな訳 80年代トヨタ製スポーツカーはレストアが困難

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搭載するエンジンは、初代と同様に6気筒で、2000ccの1G-EU型と2800ccの5M-GEU型の2本立てとした。また、1983年のマイナーチェンジで登場した後期型では、2800ccエンジンをパワーアップしたほか、2000ccではターボエンジン版も追加。さらに、NA(自然吸気)のDOHC4バルブ(ツインカム)エンジンを採用するなどで、より高性能化を図っている。

装備面では、一部グレードに世界初のナビゲーションシステム「ナビコン」を設定していたことが注目だ。これはインプットされた目的地の方向と距離をマイコンが記憶し、正しい方向を刻々と表示するといったもので、のちのカーナビゲーションシステムのはしりだといわれている。

なお、2代目セリカXXは、1986年に生産を終了。同年に登場し、今でも名車として名高い後継モデルのA70型は、前述のとおり、モデル名を北米と同じスープラに統一。そして、1993年に発売された4代目A80型、現行の5代目GRスープラ(DB型)へと続いていく。

展示車の特徴と高価な理由

デジタルメーター
展示車両のデジタルメーター(筆者撮影)

そんなセリカXXのなかで、今回のイベントで展示された車両は、「セリカXX 2000GT(後期型)」というグレードとなる。2000cc・6気筒のツインカムエンジンを搭載した高性能仕様で、やはり当時としては珍しかった「デジタルメーター」も装備している。

これは、先述した姉妹車のソアラにも採用されたもので、当時は高級車など一部のモデルにしか設定がなかった装備だ。今では当たり前となったデジタルメーターだが、かなり珍しかったこともあり、若い世代を中心に、多くのクルマ好きが「先進的でかっこいい」と憧れを抱いた。

レースのハーフシートカバー
今では珍しいレースのハーフシートカバー(筆者撮影)

興味深かったのは、前後席に「レースのハーフシートカバー」も装備されていたことだ。昔は、室内へ高級感を演出するために人気だったアイテムだったが、今では一部のタクシーなどを除き、装着しているのをほぼ見かけなくなった「まぼろし」のアイテムだ。

しかも、この車両に装着されているシートカバーは「CELICA XX」のロゴ入り。おそらく、純正オプションなどの専用品なのだろう。そして、こうしたレアな装備が当時のまま付いていることも、このクルマに歴史があることを感じさせる。

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