ソフトバンク「孫会長は大興奮」でも慎重な再出発 久々に示された「新規投資先」に透ける手堅さ

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直近では、自動車と建物の損害査定を行う画像認識AI企業・トラクタブルへ、既存株主とともに6500万ドル(約90億円)を出資したことも発表された。ここからも、業界関係者からは「慎重な投資」と評する声が聞こえる。

世界の保険市場は成長が見込まれる一方、あるべンチャーキャピタルの幹部は「うちも数年前、事故車両を画像で査定する中国のスタートアップに出資した。国土の広い国では、いちいち駆けつけるなんて大変」と明かす。保険とAI技術を組み合わせた分野では、グローバルで底堅い需要が見込めるという。

「3年前はイケイケゴーゴーだった」

総会での孫会長の興奮ぶりとは対照的に、手堅い投資姿勢をとる理由について、後藤CFOは決算説明会で次のように言及した。

「3年前のビジョン・ファンドは“イケイケゴーゴー”で、投資の意思決定もだいぶスピード優先だった。しかし、(投資先について)より細かいところまで、丁寧に見なくてはいけない環境となっている。従来は『本当にこれはAIか』とご指摘を受ける投資先も、ないわけではなかった。今回は、よりAIに集中することについてもこだわっている」

目下、ソフトバンクグループの株価は1株当たりNAVを30%超割り込み、「ソフトバンク・ディスカウント」とも揶揄される。守りの経営で財務体質が改善されたとはいえ、市場関係者らは投資の目利き力を慎重に見極めているようだ。

地に足のついたAI系ファンドとして再出発し、市場の信頼を取り戻せるか。一大AIブームの今こそ、その真価が問われている。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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