結果を残す人残せない人の勉強法「超根本的」な差 できる人は「自分に合った努力」をしている

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そのことについて著者が明かしている答えは、当たり前のようであり、やや意外でもある。多くの人が、自室ではなくリビングや廊下で勉強するという選択をしていたというのである。

理由はいたってシンプルで、つまり自室には「休む場所」というイメージがまとわりついており、すぐに「休むルーティン」ができてしまうから。長い時間をかけて培ってきたそのようなルーティンは、東大生にとっても壊しにくいものなのかもしれない。

そこで有効なのが、まだ何のルーティンもないリビングや廊下です。この「ルーティンの空白地帯」に「嫌い×苦手」な勉強をするという新しいルーティンを埋め込んで、習慣化してしまおうというわけです。(70ページより)

実際、東大生に話を聞いてみると、すぐ横で親や兄弟姉妹がなにか違うことをしているリビングで勉強していたという人はとても多いのだそうだ。そこには自分以外の誰かから見られているという緊張感もあるだけに、「集中しなくては……」という思いがことさら強くなるのだろう。

また、本来は通路でしかない廊下で勉強するとしたら、その環境自体が新鮮さを与えてくれるに違いない。そう考えてみると、リビングや廊下のような環境で勉強する習慣をつけることは意外に楽で、そして効果的なのかもしれないということがわかる。

立って勉強する

ただし、なかには「自室しか勉強できる環境がない」という方もいらっしゃるはずだ。では、そんなときにはどうしたらいいのだろうか?

この問題に関しても、著者はまた意外な提案をしている。自室でしか勉強できない場合は、「立ってやる」のがおすすめだというのだ。

決して冗談ではない。椅子に座ったり、あるいはベッドに横になりながら勉強している場合、「そのまま、いつの間にか寝落ちしていた」というようなことも十分に考えられる。というよりも、よくある話だともいえそうだ。ただし、当然のことながらそれは最悪のパターンである。だからこそ、いっそ立ったまま勉強しようと著者は訴えているのである。

しかし、いざやってみようとすればなかなか難しいものではある。なぜなら多くの人は、「立ってなにかをするルーティン」など持ち合わせていないはずだからだ。やりなれない以上は、気恥ずかしさもあるかもしれない。

だからこそ、これから新しく「『嫌い×苦手』な勉強は立ってする」というルーティンを確立してしまえるわけです。東大生には、立ちながら本を読んだり論文を書いたりしている人もいます。
このように、「嫌い×苦手」な勉強は場所や姿勢を変えて、そこでの作業をルーティン化するというのがおすすめの方法です。(71ページより)

つまり大切なのは、自分のなかにこびりついている“常識”や“前例”を取り去り、そうしてできた隙間に新たな考え方を吹き込んでみることなのだろう。それを新たなルーティンとして身につけることができれば、おのずと勉強もはかどるようになるということだ。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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