議員へ贈賄疑い、「日本風力開発」政財界での影響力 業界団体も巻き込んだ異例の「入札ルール変更」

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国が洋上風力発電の事業者を公募する初の大型案件となった秋田県と千葉県沖の3海域入札(第1ラウンド)。2021年12月に落札結果が公表され、圧倒的に安い売電価格を提示した三菱商事などの企業連合が「総取り」をしたことが業界に衝撃をもたらした。

この衝撃的な結果を当初、政府は「思ったよりも価格低減が進んだ」(経済産業省関係者)と肯定的に受け止めた。一方で、いち早く国内の洋上風力に乗り出そうと、地域で風況調査などを行っていた日本風力開発やレノバなどにとって敗退のショックは大きかった。

「入札ルール自体を見直すべきだ」

日本風力開発の塚脇正幸社長(写真は2008年、撮影:今井康一)

この直後から業界内では「三菱商事は赤字覚悟の応札をした。洋上風力の赤字を他の資源事業から補填するつもりだ」との風聞が飛び交った。そして、「入札ルール自体を見直すべきだ」との論が大きくなっていった。

その渦中にあった、2022年2月17日の衆院予算委員会。秋本議員は「2回目の公募(第2ラウンド)から評価の仕方を見直していただきたい」などと萩生田光一経産相(当時)に繰り返し質問。「事務方に『どうだ』と言ったら、『できません』と言うんだと思うので私はやはりここは政治判断なんだろうと思う」(秋本議員)と迫った。

それから1カ月後の3月18日には、すでに始まっていた秋田県八峰町・能代市沖の公募入札手続きの延期と評価基準を見直すことが突如発表されるという異例の事態に発展した。

その後、10月になって公募ルールの見直しがようやく固まることになる。各社報道によれば、この直後に約1000万円の現金が日本風力開発側から秋本議員へ受け渡されたとされている。

評価基準の見直しは、特定の事業者に有利に働く形に歪められたのではないか。ポイントの1つになりそうなのが、業界団体である日本風力発電協会(JWPA)がどのように入札ルール変更の議論に対応してきたかだ。

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