議員へ贈賄疑い、「日本風力開発」政財界での影響力 業界団体も巻き込んだ異例の「入札ルール変更」
JWPAの代表理事は、日本風力開発副会長の加藤仁氏だ。4人いる副代表理事は、ENEOSホールディングス傘下のジャパン・リニューアブル・エナジーや豊田通商傘下のユーラスエナジーホールディングス、MHIべスタスジャパンの経営幹部、そして日本風力開発グループのイオスエンジニアリング&サービスの最高顧問である祓川清氏が務めている。代表理事、副代表理事の要職を占める「日本風力開発の色はもともと強い」(会員企業)との声も上がる。
東洋経済はJWPAに対して、「臨時政策部会で出た会員企業からの反対の声」や「日本風力開発の塚脇社長から秋本議員への資金提供に関する認識」などについて質問したが「回答を差し控える」(JWPA)との返事だった。JWPAは「内外に影響力を行使できる機能・能力を持つとともに、説明責任を果たし、コンプライアンスを維持する」との基本理念を掲げている。
秋本議員「何が悪いのか」とメディアに反論
洋上風力の公募入札を巡っては、かねて異例の「評価基準見直し」が特定の事業者や政治家の働きかけによるものでは、という指摘が根強くあった。
2022年6月、秋本議員は自身が事務局長を務めていた自民党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟(再エネ議連)のメディア懇談会の場で、「特定の事業者に有利になるのではないかと批判する記事があったが、それの何が悪いのか。環境アセスメントが済んでいて早く運転開始することに国民にとって何のデメリットがあるのか」と反論していた。
再エネ議連の柴山昌彦会長は同じ場で「われわれ議連があたかも利権にとらわれて制度の公平を歪めようとしているんじゃないかという発信がある」としつつ、「ただ、再エネにもしわれわれが一歩、減速してしまうということがあったら、それこそ日本のこれからのエネルギーというのは大変な危機に見舞われるということは間違いありません」と語っていた。
秋本議員と日本風力開発を巡る贈収賄の疑惑を受けて、柴山会長の懸念は現実のものとなりつつある。洋上風力の公募入札が政治介入によって歪められたのではないかとの不信感は高まるばかりだ。
業界団体や再エネ議連を含め、一連の関係者が何も説明責任を果たそうとしないなら、日本の再エネ政策の前途が危うくなるのは間違いない。
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