シャンシャンが半年「非公開エリア」で暮らす事情 中国国内でも高まる人気、SNSでもいいね!が沢山

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パンダセンターは中国のSNSであるウェイボーを使い、月に1回ほどのペースでシャンシャンの動画を投稿している。「いいね」とコメントの数は、ほかのパンダの投稿に比べとても多く、内容は多彩だ。

例えば、パンダセンターが5月23日に投稿した動画のシャンシャンは、ほっそりして見えた。SNSのX(旧・ツイッター)やウェイボーには「これ本当にシャンシャン?」「私が知っているシャンシャンじゃない」「かなりやせちゃって心配」という日本人と中国人の声が多くあがった。

するとパンダセンターは「この動画と以前の写真を比較し、シャンシャンが帰国してやせたと言うネットユーザーがいますが、シャンシャンの体重は100kg前後で、帰国直後より10kg以上増えています。つまりこれは撮影角度の問題です! シャンシャンのことを気にかけてくれてありがとう!」(原文は中国語)と5月30日に投稿。日中のファンは胸をなでおろした。

自然豊かな屋外で授乳しているパンダ(筆者撮影)

雅安基地の検疫エリアは広大で、運動量が多そうだが、シャンシャンはやせるどころか、体重が増えている。中国の食べ物もよく食べているということだろう。6月26日に投稿された動画では、シャンシャンがタケノコをほおばっていた。

シャンシャンが怒られている?

パンダセンターが7月19日に投稿した動画では、非公開の検疫エリアの屋外にいるシャンシャンに飼育員さんが「シャ~ン!」「おいで~!」と何度も呼びかけている。

これを視聴した日本人と中国人の一部の人は「飼育員が怒っているように聞こえます」「飼育員の言い方がきつい」「シャンシャンがかわいそう」とSNSで反応した。

すると「これは溺愛の口調ですよ」「四川と重慶の人の話し方です」「私の夫は雅安出身で、雅安の人はこの口調が普通です」といった指摘が中国人から相次いだ。怒るどころか、かわいがっているのだとわかり、ファンは大いに安堵した。

中国人の中には、日本語を懸命に使いながら、雅安基地やシャンシャンにまつわることをSNSに投稿している人もいて、日本のファンが感謝の声をたくさん寄せている。

このようにシャンシャンが懸け橋となって、日中間のちょっとした文化交流も生まれている。

豊かな自然に囲まれながら、中国でも愛され、新鮮な竹やタケノコを食べているシャンシャン。いずれ公開となり、成長した姿を見るのが楽しみだ。

上野動物園で最終公開日のシャンシャン。2023年2月19日(筆者撮影)
中川 美帆 パンダジャーナリスト

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なかがわ みほ / Miho Nakagawa

福岡県生まれ、早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)

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