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経済失速が強めている中国社会の不穏な空気 「経済記者」と知って入国審査官の態度が急変

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深圳での児童殺害事件は日本社会に大きな衝撃を与えた。背景にある中国の変化を読み解く。

パンダの故郷という土地柄、成都では「社会主義核心価値観」の宣伝にもパンダが利用されていた (写真:筆者撮影)

「敏感、敏感、敏感」

彼は3回、言った。いや4回だったかもしれない。9月中旬、四川省成都の空港で入国審査を受けていたときのことだ。仕事を問われて「記者」と答えたときは平然としていたのに、担当を「経済」と言った途端、表情が変わった。

中国語で「敏感」は、政治的にセンシティブな取り扱い注意の案件という意味合いで使われる場合が多い。私は、中国の変化をいきなり見せつけられた思いがした。

コロナ禍前は、緊張を招きやすい「記者」の中でも「経済担当」と明かすと相手の表情が緩んだ。拡大基調の経済は、政治や社会問題に比べて「敏感」ではなかった。

経済関連でも言論統制が一段と強まる

今は違う。不景気とともに経済関連にも言論統制が一段と強まる。経済に携わる高官の拘束が増え、当局は悲観的な見通しや批判的な論評を規制している。私が「日中両国で財政や金融をはじめ、経済全般を担当してきた」と説明したところ、長いやり取りが始まった。

訪問の目的は、日本人の友人に会ったり、パンダ関連の観光地を訪ねたりすることだ。中国がパンダを貸す17カ国すべてとメキシコ、台湾や香港を訪ね終わり、本場の大熊猫基地を見学することにした。内陸を訪ねるのは約5年ぶり。街の様子も味わいたかった。

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