栗山氏「二刀流正しかったか"わからない"」の本音 侍ジャパンの監督を終えた今、考える「今後の展望」
「ファイターズの当時のGMをしていた吉村浩と僕の2人に関しては、翔平の二刀流を疑うことは一切なかった。日本ハムの監督をやっていて一番記憶に残っている言葉は、翔平が1年目(の2013年)にプロ初勝利をあげたときに、吉村が僕に『監督、二刀流をやったことに関して、50年後に必ず評価してくれる人が、野球界に出てきますから』って言ったんですよ。
その言葉は忘れないですね。もっと先のビジョンで、吉村は見ていたと思う。野球界にこういう選手が必要なんだということ、二刀流をできる選手がいることの証明です」
当初は世間からの疑念や批判が少なからずあった二刀流への挑戦。大谷選手が連日のニュースになるほどの活躍を見せる今となっては、二刀流ができるということに対する証明はすでに完結したように見える。だが、栗山氏の考えは少し違う。
「二刀流が正しかったかは“分からない”」
「思ったよりも翔平が頑張ったんで(笑)。二刀流に対して文句を言われることはなくなりましたけど、僕は本当に二刀流が正しかったかどうかは、まだ分からないです。いまだに、彼の能力に対しての必然が二刀流だと僕は思っていますが、でもこれが正しかったなんて、僕らは思っちゃいけないと考えています。
最後、翔平が野球をやめたときに、『二刀流やって良かったです』と言ってくれたら正解だったし、そうじゃなかったら、指導者として、もしかしたら僕らは間違ったんじゃないかと思う。そういう目線が必要かなと考えている」
栗山氏はまだ二刀流が正解だったかどうかを指導者として問い続けている。その自己問答は、ただ成果を追い求めるのではなく、そのプロセスを絶えず振り返り、真実を見つめる「中庸」の精神を体現している。選手として、そして人として大谷選手がどう成長するかという長期的な視点に立っているその姿勢こそが、栗山氏の監督としての稀有な資質なのかもしれない。
「何が正しいか。僕は(日本ハムで)監督を10年間やって、最後の日に正しいという言葉はあり得ないとノートに書きました。自分が正しいと思ってしまったら人の話を聞けないし、人の話を全部否定するじゃないですか。それだけはやめなきゃいけないというのが、10年間の答えだった」
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