栗山氏「二刀流正しかったか"わからない"」の本音 侍ジャパンの監督を終えた今、考える「今後の展望」

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その結果、大事な試合で源田選手をスタメンに戻すことで、チーム全体の士気を高めることができた。栗山氏の見識と経験が、難局を乗り越える戦略に結びついた好例と言えるだろう。

それはまさに中国の古代哲学、特に儒教における「中庸」の概念。具体的な行動や判断において、その場の結果や出来事に一喜一憂せず、偏った視点を避けながら全体的かつ長期的な視野でバランスの取れた判断を行う。その事について、栗山氏はこう語る。

長期的なビジョンと即座の行動が重要

「物事の枝葉にとらわれないようにするのが大事。今何か起こってしまうと、人間ってそこに引っ張られがちじゃないですか。でも本当にやりたいことの本線であるところは、もっと違うところにある。

だいたい困ると人間って短期的にものを考えるので、つねに長期的に考えるようにする。選手は多分、今しか見えてない。(プロ野球の監督をやる場合)僕らは3年から5年先のイメージを、選手に対して持っている」

栗山英樹
「明日のことは考えない」(栗山氏)その真因は?(写真:矢口亨)

ここで栗山氏が重要視するのは、選手が困難な状況に直面したとき、短期的な視点で物事を考えてしまいがちな人の傾向に注意を喚起することだ。栗山氏が指摘する「本線」は、長期的な視点に立ったときに見えてくる本質的な目標や課題を指す。

しかし、これは「“今”だけを見て行動する」ことを否定しているわけではない。むしろその矛盾する2つの視点――長期的なビジョンと即座の行動――が選手たちにとっても重要だという。

「でも、僕がつねに思っているのは、明日のことは考えないということ。明日からはどうでもいいけど、今日だけはできることをやり尽くそう。明日からはできなくてもいい。今日だけは絶対やる。また明日になったら、今日だけは絶対にやる。先の事も大事だけど、今できることを全力でやっていますか、できたんですかという問いを持ったほうがいい。

ご褒美は、いつか、どこかで来ます。そんなことよりも、『今日、俺やれた』と思うほうがうれしいじゃないですか。明日のこととか(未来の目標を)考えたほうが物事の考え方としてはいいんだけど、今日やって自分を褒めてあげたほうが結果は出やすいと思います。

結局、引退の時にもっとあの時にこうしておけばよかったって選手たちは思うんですよ。本当に明日引退、クビになると思ってないんで。思ってたら、やることが違ってくる。引退のシーズンに答えが出ているわけじゃなくて、もっと早い時に、選手たちは(結果を)求められているんですよ。そこを逃しちゃうと、先が苦しくなっちゃう。だから、今日やらなきゃ駄目なんだ、悔いを残すなと思います」

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