話すたび「モヤモヤする相手」との関係変えるコツ うつ病治療などで使われる発想をあてはめるとスッキリ

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日本における対人関係療法の第一人者は、精神科医の水島広子さん。数多くの対人関係療法の本を出版されていて、とくにこの2冊はとても読みやすいので、忙しい育児中の方にもオススメです(写真:著者撮影)

「人」や「場所」に自然に抱く期待は、本人は「間違っていないもの」「“常識”であり“普通”のこと」と考えてしまいがちです。

でも、実はその内容が現実的には無理なものだったり、特殊なものだったり、レベルが高すぎたりすることもあるのです。

その期待値の高さゆえに、日々のイライラ&モヤモヤを増やしてしまっているのも実はよくある話。そして、その事実に人はなかなか気づくことができません。「保育園」「幼稚園」「学校」「塾」「習い事」の関係者にモヤモヤを抱くときも、「役割期待のズレ」をいったん意識してみるのは、かなり大事な気がしました。忘れてはいけないキーワードは「相手も人間」ということです。

ただし、期待値を下げ続けるにも限度が

さて、「期待値を下げることで、イライラ&モヤモヤは減る」というのは、多くの人に納得してもらえるところだと思います。

ただ、だからといって、期待をどこまでもどこまでも下げればOKというわけでもない、とも感じます。

たまに「パートナーに期待なんてしないほうがいい。裏切られて傷ついたり疲れるだけだから」という発言を聞くことがあります。その言葉を生み出した「積み重なった長年の大量の傷つき」はすごく理解できる一方で、そのパートナーが「どの分野に関してもまったく何の期待もできない」「対話もできない(役割期待のズレの修正もできない)」相手だという場合は、一生一緒にいる必要があるのか、は考えたほうがいいとも思うのです。期待値ゼロのパートナーと長く暮らすのはとても悲しい気がするからです。

これは「保育園」「幼稚園」「学校」「塾」「習い事」に関しても同じです。どの部分においても何1つ期待ができないなら、それは自分たち家族にとって必要のない場所で、違う場所を選んだほうがいいこともあるからです。

とにかく、

役割期待のズレを意識してみる
② 必要であればズレを
修正する
③ まったく何の期待も持つことができない人や場所とは、うまく距離をとって離れる

は、日々のイライラ&モヤモヤを減らす大事なプロセスで、ストレスがたまりがちな育児生活ではとくに大事だなと思ったのでした。

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ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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