グローバル時代の成功のカギはダイバーシティ~「アジア内需」のチャンスを生かす《3》人材の育成に欠かせない日本人の意識改革
90年代半ばころは日本が4年にわたり国別で1位だった。しかし、97年のピーク時に4万7000人まで増えた留学生は09~10年度には2万5000人と5割近く減った。特に08~09年度13.9%減、09~10年度15.1%減と2年連続で2ケタ減と大きく減らしている。
社会のグローバル化に対応するようにアジアの若者たちが急速に海外志向を強める一方で、日本では国内に巣ごもる若者が増えている。留学生の減少は日本の世界での存在感の低下にもつながっている。
日本の優秀な高校生は日本一の東京大学を目指す。しかし、中国、韓国、シンガポールなどアジア諸国の優秀な生徒は、世界中のエリートが集まる「世界」のトップ大学を目指す。そして世界を舞台に活躍したい意欲あるアジアの中高生は、海外の一流大学合格に向けて勉強し、結果を出している。
世界大学ランキングで長年ナンバーワンの地位を占めるハーバード大学の09年度留学生数(学部生)も、下記のように日本以外のアジア勢の多さが目立つ。
韓国人42人
中国人36人
シンガポール人22人
日本人 5人
近年、アジア諸国の国際競争力が大きく伸び、逆に日本は低下しているが、これは偶然ではない。海外留学の活発度がこれら国々の国際競争力に影響を与えるというのは、有能な人材が育つ過程では教育が大きく関係するからだ。
日本の将来を担う若者の育成は、中長期的視点と戦略を持ち、企業のみならず、国家を挙げて取り組むべき最も重要な課題である。アジア諸国に後れを取っている日本のグローバル人材育成だが、厳しい国際経済の中で成長していくには、世界に通用する人材の存在が必須の条件となる。
グローバル企業にとって、優秀な人材は日本人でなくても構わない。しかし、それでは日本という国が衰退してしまう。グローバル人材を本気で育成するためには日本人の意識改革とともに、それを本気でサポートする国の制度なども必要になってくるだろう。
パク・スックチャ
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら