崖っぷち芸人TAIGAの人生が変わる「と思った」話 一世一代の大舞台「R-1決勝」の思わぬ結末
そうして、松井と一緒に音楽アプリを使って曲を打ち込んだ。
「オチは全て『お前、誰だよ!』。それをこのロックンロールに乗せてやるんだ!」
「いいっすねー!」
ふたりで大爆笑をしながらネタを練り上げた。これは売れるネタができた、と初めて思った。長く暗いトンネルの出口が見えたかもしれない。
渾身のネタで、3度目の挑戦
それから1年。練りに練った「お前、誰だよ!ロックンロール」は、元旦の『新春レッドカーペット』で満点大笑いを取る。そしてR-1ぐらんぷり2014の予選が始まった。
「お前、誰だよ!ロックンロール」は、本当に自信作だった。R-1には、もちろんこのネタで挑むつもりだったし、このネタと心中するつもりだった。だが、予選のウケはそこまでよくない。「これは当落線上ギリギリかな……」という反応で、そのたびに冷や汗をかいた。
審査員をやっていた作家さんからは「他にもいいネタあるんだからネタ変えたら?」と言われる始末だ。3回戦の会場は、新宿のルミネtheよしもと。後半ブロックのトップバッターだったが「ほら見たことか!」と言いたくなるほど爆発的にウケた。袖で見ていた松井も「絶対受かってますよ!」と興奮気味だった。
迎えた準決勝。出番表を見て俺は小さくガッツポーズをする。出番はCブロックのトリだった。ブロックのトリでウケれば、経験上、決勝に行けることを知っていたからだ。ようやく訪れた勝負のとき。
「落とせるもんなら落としてみろ」
そうつぶやいて、俺はステージに向かった。
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