「西部警察カラオケ」は"脱常識"から生まれた 熱烈ファンの社員が打ち破った業界の常識
爆破シーンは「西部警察」の大きな売り。毎回、莫大な制作費を投じて建物や車両、船舶などを爆破させていたという。
また全国を行脚する「ご当地ロケ」を行うことになったのも、石原裕次郎さんが闘病から復帰した際、その応援に対する全国のファンへのお礼という目的のほか、爆破を含む、より大規模なロケをやるためでもあった。
ちなみに本来であれば警察は管轄区域が決まっているため、東京城西地区を担当する「大門軍団」が全国で活躍するのはおかしい。そんな具合に、常識を軽く飛び越えた状況設定も、西部警察の大きな魅力といえるだろう。
石原プロが新人俳優を募集!
そしてカラオケ化を導いた2つ目の要素が、石原プロモーションが目指している新機軸だ。
「まだ発表してないのですが、この夏、数年後の映画制作のために新人俳優を募集します。そこで、カラオケインフラを使った募集ができないかと話をしているところなんです」(齋藤さん)。
「SKE48さんなどのオーディションをDAMで行っているので、技術的にはもちろん可能です。ですが俳優となると、演技力などをいかに表現してもらうのかも重要なので、これから一緒に考えていきたいと思います」(小倉さん)。
カラオケから、渡哲也さんや舘ひろしさんのような俳優が登場するかもしれない。
このように、「西部警察」カラオケ企画はさまざまなタイミングが絶妙に重なったことによる産物だった。しかしやはり実現にこぎ着けるには、そして石原プロモーションやファンが納得できるものを完成させるには、なくてはならないものがあった。熱くたぎるような、ひとりの「西部警察」ファンの思い、そして夢をあきらめない姿勢である。
それが、今回の企画の立ち上げから仕上げまでを担当した小倉さんだ。小倉さんは、小学生時代から「西部警察」の熱烈なファン。第一興商には1997年に入社。「西部警察をカラオケにしたい」という思いはいつも念頭にあったという。
しかし、「権利関係が複雑なドラマを扱うことは無理」という業界の常識を聞かされており、なかなか動き出せなかった。「ダメもとで話をしてみてもいいんじゃないか、と思ってアポをとったのが2014年の5月です」(小倉さん)。
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