「西部警察カラオケ」は"脱常識"から生まれた 熱烈ファンの社員が打ち破った業界の常識
また、西部警察に登場する「マシンX」や「レディバード」といったスーパーマシン(特殊車両)の存在も忘れてはならない。数万円するプラモデルを購入するファンもいまだに多いのだ。
「キャラクターの人気投票をしたら、第1位が大門刑事で、第2位がマシンXだったんですよ。20代の女性がレディバードのファンだったり……。ヒーロー集団がいて、かっこいいマシンが活躍する『西部警察』はある意味、『戦隊もの』にノリが近いですよね。その世界観が、若者にもなじみやすいのかもしれません」(齋藤さん)。
『西部警察』のDVDも、ある特定のキャラクターやマシンに焦点をあてた「セレクションバージョン」が何種類も発売されている。西部警察はもともと、「キャラ萌え」のファンやマシンマニアの心をくすぐる世界観を持っているのだ。
話をカラオケに戻すと、実は、テレビドラマがカラオケになるのは今回が初めて。カラオケのあり方を変えるかもしれない画期的なニュースなのである。
そもそもテレビドラマは、テレビ局と制作会社の間にスポンサーをとりまとめる広告会社が入って制作・放映されることが多い。それを今回のように商品化しようとすると、権利関係が複雑なこともあり実現が難しい。
しかし「西部警察」は、制作会社である石原プロモーションがテレビ朝日と直接契約して制作・放映した異例のドラマだ。つまり制作物に関する権利の多くは、石原プロモーションにある。第一興商がドラマのカラオケ化を行う手始めとして「西部警察」を選んだのは、目の付け所が非常によかったわけだ。
石原プロのメリットは?
今回の企画実現には、ほかにも幸運があった。
まず、第一興商が、業界でもトップシェアの業務用通信カラオケ機器DAMのフラッグシップモデルを数年ぶりにフルモデルチェンジするタイミングだった。
新機能はいろいろあるが、特に2つのモニターに別の映像を映し出せる「デュアルモニター」機能や、音を立体的に再現する「ライブサウンド」機能がポイン ト。これにより再生された映像、音楽に包み込まれるような感覚のなかで、視聴したり歌ったりすることができる。「西部警察」でいえば、カーチェイスや爆破 をその場で見ているように楽しめるわけだ。
「今はデジタル技術がありますから、すごいアクションや、派手なシーンはいくらでも"作る"ことができる。それに対して『西部警察』のアクションや爆破はすべて本物だから、生の迫力がある。そこも大きな魅力になっていると思います」(齋藤さん)。
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