会社で地獄を見た「36歳・ギフテッド男性」の提言 優秀なのではなく特殊なのだと知ってもらいたい

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吉沢さんはギフテッドをスポーツカーで例えてくれた。

「スポーツカーで公道を走ろうとすると、ブレーキを踏みながらヨロヨロと走ることになります。走りやすい道を用意してくれる人や、助手席に乗ってくれる人など、アクセルを踏み続けられる環境が必要」だという。「自由に走れる環境があれば、勝手に走る」。それがギフテッドなのだという。

なんでもバランスよくできる優等生に憧れるかもしれないが、それを目指す必要はない。大谷翔平選手が将棋を指せる必要はないし、藤井聡太さんが時速160キロのボールを投げられる必要もない。

(撮影:高橋奈緒/朝日新聞出版写真映像部)

ギフテッドの特性や得意不得意を知ってもらえたら

「多様性」をうたう会社も多いが、本当の意味で「人と違う」ということを認めてくれる会社はそう多くはないのかもしれない。扱いづらい、周囲の意見を理解できないなどとすでに排除されているギフテッドもいれば、自身が周囲から浮くことを恐れて才能を隠しているギフテッドもいるかもしれない。

『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

これからギフテッドが浸透し、採用しようという会社が出てきた時には、ギフテッドの特性や得意不得意があるということを知ってほしいという。

「ギフテッドはなんでもできる夢の人材ではありません。優秀なのではなく、特殊ということを知ってもらいたいです。扱いづらい点もあるかもしれません。会社として必要な能力と思ってもらい、能力を守って活かす方法を考えてもらえれば、お互いに良い結果を与え合う関係になれるのではないでしょうか」

現在は、東京大学大学院のギフテッド創成寄付講座で、当事者として研究協力をしたり、講演会で適応に苦しんだ体験を話したりしている。自分と同じように苦しむ人を減らすため、第三者が声をかけやすいよう名前と顔を出すことを選んだ。

「人と違うことは決して悪いことではない。だから人と同じになろうとするのではなく、人と違う自分のことを認め、嫌いにならずにいてあげてほしい。そして、周囲の方々には、伸ばそう、教えようとするのではなく守ってあげることを大事にしてほしい」 

(※吉沢さんの年齢は2023年3月時点のものです)

阿部 朋美 朝日新聞・CDPソリューション部

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あべ ともみ / Tomomi Abe

1984年生まれ。埼玉県出身。2007年、朝日新聞社に入社。記者として長崎、静岡の両総局を経て、西部報道センター、東京社会部で事件や教育などを取材。連載では「子どもへの性暴力」や、不登校の子どもたちを取材した「学校に行けないコロナ休校の爪痕」などを担当。2022年からマーケティング戦略本部のディレクター。

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伊藤 和行 朝日新聞・記者

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いとう かずゆき / Kazuyuki Ito

1982年生まれ。名古屋市出身。2006年、朝日新聞社に入社。福岡や東京で事件や教育、沖縄で基地や人権の問題を取材してきた。朝日新聞デジタルの連載「『男性を生きづらい』を考える」「基地はなぜ動かないのか 沖縄復帰50年」なども担当した。

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