IQ130超「ギフテッド」36歳彼の生きづらすぎた半生 社会人になり3度の長期休暇、自殺未遂を経験

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周囲となじめず、苦難の連続だった社会人生活。ギフテッド当事者として発信を続ける、吉沢拓さんに話を聞きました(撮影:高橋奈緒/朝日新聞出版写真映像部)
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世間では「ギフテッド」と呼ばれることもある、才能を持つ子どもたち。文科省がその支援のために2023年度予算案で8000万円を計上するなど、日本でも注目を集めるようになってきていますが、突き抜けた才能を持つ一方で、IQの高さや並外れた知能の発達ゆえに問題を抱えるケースも少なくありません。
なぜ彼らは困難を抱えるのか? そして、なぜ教育はその才能を伸ばせていないのか? 『ギフテッドの光と影 知能が高すぎて生きづらい人たち』より一部抜粋・再構成してお届けします。

沈黙の全校集会

学校になじめないギフテッドを取材してきたが、会社ではどのような苦労があるのだろうか。そう考えていた時に、出会ったのが吉沢拓さん(36)だった。

ブログやツイッターで情報発信されている吉沢さんは、壮絶な経験をつづっていた。社会人になってから3度の長期休暇、自殺未遂を経験した。周囲との「ずれ」は、 自分ができないからなんだ――。そう絶望した中で、自身がギフテッドであると知ったという。

ぜひ会って話を聞きたいと思い、取材を依頼した。初めて吉沢さんと出会ったのは、クリスマスムードに包まれた2022年12月のことだ。勤務先のIT企業は、東京の高層ビルにある。若者でごった返す道をかき分け、オフィスにたどりついた。

無人の受付機で来館の手続きを済ませると、すぐに吉沢さんが駆け寄ってきてくれた。細身の黒いスーツに身を包み、きれいにセットされたパーマヘア。清潔感あふれる姿からは、都会のビジネスパーソンのにおいがした。

「普段はこんな格好しないんですよ」はにかみながらそう教えてくれた。

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